米モデルナ、カナダにワクチン製造施設建設で合意

(カナダ、米国)

米州課

2021年08月13日

カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相と米製薬大手モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は8月10日、記者会見を開き、カナダにメッセンジャーRNA(mRNA)型ワクチン製造施設を建設する覚書(MOU)を締結したことを発表した。今回の合意により、モデルナは初めて国外でmRNAワクチンを生産することとなる。

この覚書によると、モデルナはmRNAワクチン製造施設の建設によって、雇用創出やカナダ国内の研究開発に協力することにより、カナダのライフサイエンス・エコシステムの貴重なパートナーとして活動していく計画だ。また、将来の感染症のパンデミックに対する備えを強化することができるとしている。製造施設の建設地は発表されていない。

シャンパーニュ大臣は今回の発表について「モデルナの計画は、最先端のバイオ製造能力を備えた強力で競争力のあるライフサイエンス部門を成長させるというわれわれの計画で重要な動きだ」「モデルナは新型コロナウイルスワクチンのほかに、がんやその他の病気を治療する研究も行っている。それに関する研究・生産部門がカナダにあることは大きな利益となる」と述べた(「トロント・スター」紙8月10日)。

モデルナのバンセルCEOは「カナダ政府には新型コロナウイルス感染拡大に対処するためにわれわれとパートナーシップを構築し、われわれのデータ、科学、mRNAプラットフォームに信頼を寄せてもらったことに感謝する」と述べた。また、欧州やアジアの国々と同様の施設建設を検討しているとしたが、詳細については言及を避けた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙8月10日)。

カナダ連邦政府の最新データによると、同国では8月6日時点で新型コロナワクチンを1回以上接種した人は全人口の71.1%(約2,702万人)、接種完了者は同59.7%(約2,269万人)。ワクチン使用状況(製薬会社別構成比)は、7月31日時点で1回以上接種した人のうち、モデルナ製が10.1%となっている。

(大塚真子)

(カナダ、米国)

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