サウジアラビア政府、アフガニスタン国民への支援を表明

(サウジアラビア、アフガニスタン、中東)

リヤド発

2021年08月26日

8月15日にタリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧したことを受け、サウジアラビア政府はカブールにあるサウジアラビア大使館の全職員の避難・帰国措置を取った。その後、サウジアラビア外務省は声明において、情勢の注視と安定化への期待を示すとともに、タリバンおよびアフガニスタンの全勢力に対し、イスラム教の原則に基づき、安全、安定、人命、財産の保護を要請し、アフガニスタン国民への支援を表明した。

8月18日には、ファイサル・ビン・ファルハーン外相がアントニー・ブリンケン米国務長官と電話会談を行い、両国の戦略的な関係を今後もあらゆる分野において強化させることを確認するとともに、アフガニスタン情勢について話し合ったと報じられた。

さらに8月22日には、サウジアラビアが議長を務めるイスラム協力機構(OIC)の緊急会合がジェッダで開催された。OICのユーセフ・アル・オサイミーン事務局長は、「将来のアフガニスタンの指導者」と国際社会が、アフガニスタンがテロ集団の潜伏先として二度と利用されることがないように、共に協力する必要があると警告した。また会合では、全ての当事者に対して、アフガニスタン国民のための暴力の放棄や安全と秩序の回復に加えて、国民の平和、安全、生活の安定、権利などの達成に向けて努力し永続的な平和を確立すること、「将来のアフガニスタンの指導者」には、国内勢力間の和解を促した上で、国際条約・協定、国連憲章および国連決議を順守した国家統治を行うことなどを呼び掛けたとされている。

サウジアラビアは、過去にタリバンが樹立宣言を行った「アフガニスタン・イスラム首長国」(1996~2001年)を承認していた数少ない国の1つだったものの、当時の「タリバン政権」が、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンを保護したことに反発して、援助および外交関係を停止していた。今回のアフガニスタン情勢では、サウジアラビアはその立場について明白に言及することはせず、人命保護の要請を優先している。

(比嘉千亜紀)

(サウジアラビア、アフガニスタン、中東)

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