EU食品団体・企業、「農場から食卓へ」戦略の一環の行動規範に署名

(EU)

ブリュッセル発

2021年07月07日

欧州委員会は7月5日、食料システムの持続可能性を高めるため、食品加工や食品サービス、小売り部門などにおける取り組み強化の任意の行動規範として、「責任ある食品ビジネスと販売活動についてのEU行動規範PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を策定し、計65の団体・企業が署名したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。欧州委は「欧州グリーン・ディール」の農業分野の中核戦略「農場から食卓へ(Farm to Fork)戦略」(2020年8月28日付地域・分析レポート参照)に基づく政策として、2021年1月から産業団体、企業、国際機関、NGO、労働組合など幅広い関係者と協議を重ね、行動規範の策定を進めてきた。欧州委は、同戦略の初めての具体的成果の1つであるこの行動規範に、さらに多くの団体・企業が署名することを呼び掛けると同時に、9月に開催される「国連食料システムサミット」にEUのコミットメントの1つとして提出する予定だ。

署名団体は、行動規範で定めた「栄養バランスが取れた持続可能な食生活の推進」「フードロスや廃棄の防止・削減」「2050年までにフードチェーンの気候中立達成」など7つの目標の下で、行動規範の普及と食品バリューチェーンの持続可能性の向上に取り組む。署名企業は、栄養改善や環境対策など幅広い分野について計測可能な成果目標を入れたコミットメントを作成し、達成に向け努力する。署名団体・企業はそれぞれ報告書を毎年、欧州委に提出し進捗状況を報告する。欧州委は進捗状況をモニタリングし、十分な進展がなければ法制化も検討するとしている。また、食品部門には中小企業が多いことに配慮し、欧州委への報告について、中小企業には毎年ではなく2、3年ごとに簡易な報告書と関連データを提出することを認めているほか、食品サプライチェーンのグリーン化を目的とした事業者に対する既存のEUレベルでの財政支援手段について周知を徹底する。

署名した食品関連業界も取り組み強化誓う

ユーロ・コマースなど小売り・卸売業界3団体は7月5日、行動規範へ署名したことを声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で発表し、取り組み強化を誓うとともに、サプライチェーン上の多様な関係者間の対話と参画を促す欧州委の包摂的なアプローチを支持し、さらに多くの企業などを巻き込むため、行動規範が任意のもので、欧州委が中小企業支援を表明している点を歓迎した。食品・飲料事業者の団体フード・ドリンク・ヨーロッパも同日、行動規範は欧州の食料システムの持続可能性向上へ向けた「重要な一歩」であり、関係者間のさらなる連携や欧州委の支援を声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで呼び掛けた。また、食品・飲料業界の脱炭素化について独自に調査を進めていることや、個別企業の優良事例から関係者が互いに学ぶことを目的とした事業や中小企業に対する表彰制度を立ち上げたことを発表した。

(滝澤祥子)

(EU)

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