米エネルギー部門雇用、2020年は前年比10%減の約753万人

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月27日

米国エネルギー省は7月19日、エネルギー部門雇用報告書を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2020年末の同部門の雇用が前年比で10%減少し、約753万人となったことを明らかにした。減少幅は約84万人で、2016年に調査を開始して以来初めての減少となった。新型コロナウイルス感染のパンデミックによる燃料需要の減少や新規事業の停止などの影響を大きく受けた。

同報告書は、米国内の3万5,000社の雇用主などを対象に実施した調査を受けたもので、電力生成、送配電・貯蔵、燃料生成、エネルギー効率、自動車の5部門で構成している。5部門で最も減少率が大きかったのが燃料生成部門で、前年比18.4%減の約94万人。以下、減少率の大きい順に、エネルギー効率部門が同11.4%減の約211万人、自動車部門が同9.0%減の約233万人、電力生成部門が同7.1%減の約83万人、送配電・貯蔵部門が同4.4%減の約132万人となった(添付資料表参照)。

5部門全体では大きな雇用減少となっているが、自動車部門のうち電気自動車が前年比7.8%増、ハイブリッド自動車が同5.5%増、電力生成部門では風力発電が同1.8%増など、増加している分野もみられた。また、雇用の減少は2020年前半に集中しており、同年後半から年末にかけては50万人程度の雇用が既に回復したとされている。加えて、バイデン政権のインフラ計画がエネルギー部門の雇用回復を後押しするとみられることから、ほぼ全ての雇用主は2021年の雇用回復を見込んでおり、その増加見通しはエネルギー効率部門で前年比10.1%増、電力生成部門で前年比8.1%増、燃料生成部門で前年比5.5%増などとなっている。

2015年から2019年にかけて、経済成長率は約1.5%だったのに対して、エネルギー部門の雇用の伸びは約3%となっており、エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官も「報告書が示しているように、既にエネルギー部門の雇用は反発しており、バイデン政権の力強い投資により、エネルギー部門の雇用をさらに加速させていく」と述べている。

なお、同報告書は、初回となる2016年調査はエネルギー省で監修されたが、トランプ政権に移行した2017年調査からは民間機関に委託して調査が行われてきた。今回から再びエネルギー省監修の下で報告書がまとめられ、これに関連して、グランホルム長官は「エネルギー省の専門家が再び重要な分析を行い、最良のデータを提供できることを誇りに思う」と述べている。

(宮野慶太)

(米国)

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