首都圏の「強化された移動制限令」下で操業可能業種を一部拡大
(マレーシア)
クアラルンプール発
2021年07月12日
マレーシア国際貿易産業省(MITI)は7月7日、セランゴール州とクアラルンプール市の指定地域に対して7月3日から16日まで発令中の「強化された移動制限令(EMCO)」下で操業が可能な製造業の業種を拡大することを発表した。
従業員の出勤条件などで課題残る
当初、製造業は一部の食品・飲料、医療・衛生用品に限っていたが、7月7日から、標準作業手順書(SOP)を順守した上で、以下の製造業の稼働について、出勤率60%を上限に許可する。稼働する企業は、MITIが管理する「新型コロナウイルス情報管理システム(Covid-19 Intelligent Management System:CIMS)」で6月1日付以降に発行され、「PKP3.0」と記載のある許可書が必要となる。
- 食品(コメ、油、パン、小麦粉、調味料、インスタント麺、肉類・魚介類・野菜などの冷凍食品、ペットフードなど)
- 飲料(ミネラルウォーター、チョコレート入り麦芽乳、コーヒー、茶、牛乳)
- 医療・衛生用品(おむつ、医薬品、マスク、手指用消毒液)
- 航空機器〔整備・補修・オーバーホール(MRO)を含む〕
- 電気・電子製品(そのサプライチェーンに関連する製品を含む)
- 機械・部品(食品や医療・衛生用品の製造にかかわるもののみ)
MITIのプレスリリースによると、今回の緩和は、グローバルサプライチェーンへの影響、国内の生活必需品の生産に配慮した結果だという。
7月7日付で発表されたセランゴール州のSOP(注)には、操業条件の1つに、全従業員に対して週2回の抗原検査を行い、陰性となった者のみ勤務できるという条件があり、費用面の負担が大きく稼働再開できない、費用を抑えるために出勤する従業員数を大幅に削減しなければならないという企業の声も上がっている。
また、セランゴール州に隣接し、製造業の集積があるネグリ・センビラン州セレンバンも7月9日から22日までEMCOが発令されたが、首都圏と操業可能業種に相違があり、在セランゴール州企業では、在セレンバン企業からの部品供給が停止したため生産できないという問題も発生している。
(注)マレー語のみ。
(田中麻理)
(マレーシア)
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