政府、新型コロナワクチン接種を加速

(パキスタン)

カラチ発

2021年07月30日

パキスタン政府は7月28日、新型コロナウイルスワクチンの調達費用として3,520億パキスタン・ルピー(約2,394億円、1パキスタン・ルピー=約0.68円)の支出を決定し、ワクチン接種を加速する。12月までに全人口の約4割に当たる8,500万人の接種を目標とする(「ビジネス・レコーダー」紙7月28日)。

パキスタンでは、6月下旬からデルタ株を中心した変異ウイルスによる感染拡大(第4波)が始まった。7月20日から22日はイード・アル・アドハ(犠牲祭)休暇で人との接触や移動が増加するため、感染拡大が懸念されていた。政府は対応を急ぎ、17日に発出した観光地や商業施設などの行動制限に続いて、24日にはワクチン接種を証明する書類を所持しない18歳以上のパキスタン人の国内線搭乗を8月1日以降禁止するとして、国民にワクチン接種を促した(外国人は対象外)。

商都カラチの感染拡大が最も深刻なシンド州は23日、商店やショッピングモールの閉店時間を午後6時とし、飲食店内外の飲食禁止、官庁や企業のオフィス従業員の出勤制限を100%から50%へ引き下げるなど行動制限を再強化。さらに州政府は同日、連邦政府の新型コロナウイルス感染対策の司令塔である国家指揮運用センター(NCOC)に対して、ワクチン接種を受けない州民の携帯電話を段階的に一時的に止めるよう要請するなど、さらに規制を強化する考えだ。

こうした政府のワクチン接種促進策が奏功して1日当たりの接種数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、7月上旬に30万件台で推移していたものが、29日は過去最高の84万9,634件を記録し、全体で2,787万5,999件(1回目と2回目の合計)に達した。19日にパキスタン証券取引委員会が全ての企業・団体などに対して7月末までに従業員の接種状況報告の提出を要求したことも接種件数の増加につながったとみられる。パキスタンの1日当たりの新規感染者数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは4,497人(7月29日)で、先週比2,339人の増加となっている。今後この増加に歯止めがかかるか注目される。

写真 接種が進み込み合う市内中心部のワクチン接種会場(7月30日、ジェトロ撮影)

接種が進み込み合う市内中心部のワクチン接種会場(7月30日、ジェトロ撮影)

(山口和紀)

(パキスタン)

ビジネス短信 9586714c8651e54d