新型コロナの影響で8月28日予定の公民投票が12月18日に延期

(台湾)

中国北アジア課

2021年07月08日

台湾中央選挙委員会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、8月28日に予定していた「ラクトパミン使用豚肉の輸入禁止」などを含む公民投票4事案の投開票を12月18日に延期すると発表した。

中央選挙委員会は8月28日に、4事案〔(1)第4原子力発電所の稼働など(注1、第17案)、(2)肥育促進剤のラクトパミンが含まれる豚肉の輸入禁止(第18案)、(3)公民投票から半年以内に全国一斉選挙がある場合の公民投票と当該選挙の同日実施(第19案)、(4)中国石油の第3液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設反対(注2、第20案)〕に関する投開票を行う予定だった。

中央選挙委員会の李進勇委員長は延期の理由について、「27万人近くに及ぶ投開票所のスタッフは、選挙罷免法第60条に基づき、選挙委員会が開く講習会を受けなければならないが、防疫警戒レベル第3級措置の延長(7月12日まで)で、室内5人以上、室外10人以上の集会が禁止され、講習会を開催できない。現在、多くの地方政府は全力を上げてワクチン接種などの防疫関連業務を行っており、選挙事務を並行して行える余裕がない」などと説明した。

また、李進勇委員長は、今回の公民投票は全国に1万7,479カ所の投開票所の設置、うち44%が域内の小中学校を利用する予定とし、警戒レベルが「第2級」に引き下げられても、小中学校の対外開放禁止により投開票所の設置ができず、また、1,980万人の有権者が投票所に集中することで、感染爆発が起こる事態を避けるべきとの見方をした。

中央選挙委員会は、公民投票の権利確保と公民の防疫成果を維持するため、行政府が進めるワクチン接種率の向上や選挙事務作業に必要な時間を考慮し、投票日を12月18日に延期することを決定した。

(注1)原発推進派による「第4原子力発電所(新北市貢寮区)の建設凍結解除と発電開始」を指す。

(注2)建設予定地の生物礁(藻礁)の生態系保護を訴える環境保護団体による「台湾中油の液化天然ガス受け入れ基地(観塘工業区)の建設反対」を指す。

(相馬巳貴子)

(台湾)

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