ユニコーン企業ブカラパック、インドネシア証券取引所に上場へ

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年07月15日

インドネシアの電子商取引(EC)プラットフォーマー大手のブカラパックは、7月9日のオンライン会見において、インドネシア証券取引所(IDX)において新規株式公開(IPO)を実施することを正式に発表した。IDXへの上場は8月6日を予定している。同国のユニコーン企業(企業評価額が10億ドル以上で、非上場のベンチャー企業)がIDXに上場するのは初めて。

ブカラパックのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、7月9日から19日にかけて同社の公開価格を決定するための需要積み上げ(ブックビルディング)を行い、26日に金融サービス庁(OJK)の承認を得た後、28日から30 日に公開買い付けを実施の予定となっている。目標調達額は約22兆ルピア(約1,672億円、1ルピア=約0.0076円)と、直近10年で最も規模の大きなIPOとなる見込みだ(「ジャカルタ・ポスト」紙7月13日)。同社最高経営責任者(CEO)のラフマット・カイムディ氏は「IPOを通し、ビジネスのネットワークやデジタルエコシステムの強化、さらにインドネシアの中小企業振興に貢献できる」とコメントした。

オンラインとオフラインの連携に強み

同社は、「ミトラ・ブカラパック」と呼ばれるオンライントゥーオフライン(O2O)(注)サービスを提供している。ミトラ・ブカラパックは、ネット環境のない顧客を取り込むために作られた小売事業者向けの専用アプリだ。地方部の小売店などが、現金取引しかできない顧客に代わりプラットホームに接続し、携帯電話料金のチャージなどを行う。店主は、ブカラパックから手数料を受け取ることが可能だ。同社はこのサービスを通して、提携する小売店などの売り上げ増加にも貢献してきた。同社の2020年の決済総額は85兆ルピアに上り、うち70%はジャカルタなどの大都市以外からの取引による。

O2O分野は、インドネシアで注目される分野の1つで、2021年5月にインドネシアの小売り大手マタハリ・プトラ・プリマ系列の大型スーパー「ハイパーマート」と配車・配送サービス大手ゴジェック(現GoToグループ)が、実店舗とオンライン店舗の販売をつなぐべく連携を行った。

(注)O2Oは、オンライン(インターネット上の施策)と、オフライン(店舗など実地での施策)が連携し、消費者の購買活動を促進すること。

(上野渉)

(インドネシア)

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