「日本・ケニアビジネスフォーラム」を開催、ケニアへの投資に期待

(ケニア、日本)

中東アフリカ課

2021年07月06日

ジェトロは6月24日、ケニア投資庁と連携し「日本・ケニアビジネスフォーラム」をオンラインで開催した。2021年にケニアで開催が予定されている日アフリカ官民経済フォーラムのプレイベントとして開催したもので、冒頭に江島潔経済産業副大臣およびベティ・マイナ・ケニア産業・貿易・企業開発長官があいさつし、続いてジュリウス・ムイア・ケニア財務省次官らが基調講演を行った。

パネルディスカッション第1部では、アフリカビジネス協議会の代表として、丸紅の河村肇専務がモデレーターを務め、「ケニアにおけるビジネス機会と課題」をテーマに両国ビジネス界のリーダーらが意見を交換した。ケニア商工会議所(KNCCI)CEO(最高経営責任者)の サムエル・マトンダ氏は、日本企業に期待する分野として、鉄鋼、機械、電気製品、食関連産業、ICT(情報通信技術)インフラ分野、クリーンエネルギーを挙げ、特に日本のパートナーには、ケニアの医療機器や製薬などのヘルスケア産業における協力の拡大に期待すると述べた。

写真 日本・ケニアビジネスフォーラムでコメントするマトンダ氏(ジェトロ撮影)

日本・ケニアビジネスフォーラムでコメントするマトンダ氏(ジェトロ撮影)

また、2021年1月から運用が始まったアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA、2021年1月7日記事参照)を含む地域統合の動きにも焦点が当たった。AfCFTAはアフリカ大陸の地域経済共同体で、54の国と地域が署名している。トヨタケニアのデニス・アウォリ会長は、ケニアにおける中間所得層の拡大やビジネス上の好立地を指摘し、日本企業はケニアをアフリカ市場のハブとして活用し、アフリカビジネスをさらに拡大していってほしい、と述べた。ケニア製造業協会(KAM)CEO のフィリル・ワキアガ氏は、AfCFTAによって域内の関税撤廃が進めば、高付加価値製品が流通するようになる、と今後のアフリカビジネスに期待感を示した。

一方、在ケニア日本商工会会長を務める西勝利氏は、ケニアの高い成長率、高度人材、整ったインフラにケニアの日系進出企業が着目しているとしつつも、高関税率や汚職など、ケニアのビジネス上の課題にも言及した。日本、ケニア両政府は、2019年7月に発足した「日・ケニアビジネス対話」などを通じてビジネス環境改善に取り組んでおり、登壇者らからも、就労ビザの発行手続きの短縮の実現など、これまでの取り組みの成果が強調された。

(小林淳平)

(ケニア、日本)

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