初の日本・サウジアラビア共同製作アニメ映画が劇場公開

(サウジアラビア、日本)

リヤド発

2021年07月05日

日本とサウジアラビアの共同製作アニメ映画「ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語」の試写会が6月24日に東京で開催され、翌25日から一般公開が始まった。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの中東地域では、一足早く17日から公開されている。

この作品は、古代アラビア半島の貿易都市メッカにある聖地カアバ神殿を破壊し、棄教と隷属を要求するアブラハ軍に、メッカの民衆が信仰心とともに立ち向かう様子を描いた歴史ファンタジー作品。サウジアラビア側のオファーによって日本の人気声優陣が出演しており、中東地域でもアラビア語吹き替え版に加え、字幕付きの日本語音声版も楽しめる。

日本の1970~1990年代のアニメなどを見て育った世代が多い中東地域では、日本の最新劇場版アニメが次々と公開されている。2018年に映画館が解禁されたばかりのサウジアラビアでも同様に、幅広い世代に日本のアニメが親しまれており、2018年以降、日本の東映アニメーションとサウジアラビアのマンガプロダクションズとの間で『キコリと宝物』や『アサティール 未来の昔ばなし』といった日サウジ共同作品が誕生した。これらを通して、サウジアラビア人クリエーターが日本のプロフェッショナルからアニメ製作のノウハウを学ぶ機会が提供されており、サウジアラビアはエンタメ分野の2国間協力の深化に積極的な姿勢を示している。

サウジアラビアの映画産業に関するプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査によると、サウジアラビアは2030年には娯楽分野への家計支出の割合が2.9%から6%になると見込むなど、同分野の安定的な需要と成長を目標としている。

マンガプロダクションズ最高経営責任者(CEO)のイサム・ブカーリ氏は東京での試写会のあいさつで「今後はコンテンツ、文化、エンターテインメントの分野でも日本と強いパートナーシップを構築していきたい」と述べた。試写会にはさまざまな分野の日本人関係者も出席しており、日本側の期待の高さも表れていた。

写真 リヤド市北部の新商業施設のデジタル広告に繰り返し表示されるジャーニーの告知広告(ジェトロ撮影)

リヤド市北部の新商業施設のデジタル広告に繰り返し表示されるジャーニーの告知広告(ジェトロ撮影)

写真 現地映画館(ドバイ系資本のVOX Cinema)における電子広告(ジェトロ撮影)

現地映画館(ドバイ系資本のVOX Cinema)における電子広告(ジェトロ撮影)

(比嘉千亜紀)

(サウジアラビア、日本)

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