シカゴオートショーが対面方式で開幕
(米国)
シカゴ発
2021年07月19日
全米最大級の自動車展示会「シカゴオートショー」が7月15日、シカゴ市内にある北米最大のコンベンションセンターであるマコーミック・プレイスで開幕した(会期:7月15~19日)。マコーミック・プレイスにおける対面方式での大規模展示会の開催は、2020年3月の新型コロナウイルス感染拡大以降で初めてとなる。シカゴオートショーは1901年から開催されている北米最大級の自動車展示会で、その開催回数も北米で催される展示会の中では最多だ。これまでは毎年2月に開催されていたが、2021年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、初の夏季開催となった。
シカゴ市のあるイリノイ州における新型コロナウイルス感染状況については、7日間平均の陽性率(7月16日時点)が1.9%、開幕初日となった7月15日の新規感染者数は861人と落ち着きをみせている一方、州人口に占めるワクチン接種完了者の割合は50%弱にとどまっており、その一層の引き上げが課題となっている。
「新型コロナ禍」での開催に伴い、従来は10日間だった展示会の会期は5日間に短縮され、屋内の展示会場も従来の半分程度の規模になっている。さらに、入場時間帯を制限して入場者数を調整し、入場前には問診票への記入を求めるなど、新型コロナウイルスへの感染対策を講じての開催となっている。
米系自動車メーカーの派手な演出に注目
今回のシカゴオートショーには、デトロイトスリー(注)をはじめとした米国系を筆頭に、トヨタやホンダなどの日系、欧州系や韓国系など計23社の自動車メーカーが出展。多くのメーカーが今回のオートショーで新型モデルを発表したほか、プロトタイプやコンセプトカーのお披露目の場としても活用していた。展示装飾は、車両を並べただけの非常にシンプルなものから、巨大スクリーンや大型ステージなどブース内に配した派手な演出まで幅広いものとなったことは興味深い。特に米国系のジープやフォードは自社で独自に勾配や突起を配した体験試乗コースを設置し、車両の高い走破性をPRする場としており、多くの来場者でにぎわっていた。
なお、ワクチン接種者の会場内でのマスク着用は義務ではなく、実際にマスクを着用している来場者は1~2割にとどまっていた印象だ。
EV専業メーカーの出展はゼロ
昨今、自動車の環境対策や電気自動車(EV)化の進展が注目されているが、その流れとは対照的に、今回のオートショーにはテスラやリビアンといったEVメーカーは1社も出展していなかった。EVをラインアップに持つ自動車メーカーは、自社ブース内にEVを展示こそしていたものの、決して特別扱いをすることなく、展示車の大半が依然として主力商品のガソリン車だった。
(注)デトロイトスリーとは、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ならびにステランティス傘下のクライスラーを指す言葉。
(西澤知史)
(米国)
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