カナダで2つの長距離高速輸送計画が前進

(カナダ)

トロント発

2021年07月08日

カナダのオマー・アルガブラ運輸相は7月6日、ケベックシティ、モントリオール、オタワ、トロントを結ぶ新たな高速旅客鉄道サービスの構築に向けて、調達準備に入ることを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同区間で旅客鉄道サービスを提供しているカナダVIA鉄道のウェブサイトによると、現在、貨物列車(注)と線路を共有していることにより発生している運行スケジュールの遅延や、運行本数の少なさなどの課題を解消する計画となっている。新たな旅客列車専用線路を敷設することで、旅客・貨物列車ともに、信頼性の高い輸送手段を提供することとなり、道路渋滞の解消にもつながるとしている。

列車は最高時速177キロで走行し、25%の時間短縮を目標としている。これにより、オタワからトロントまで約450キロの現在の所要時間が約4時間30分から3時間15分に短縮されるという。

今後は、先住民族のグループやコミュニティーからプロジェクトに関するフィードバックを得ることから着手。また、民間事業者と協力して輸送容量を含む最良の提供モデルを完成させ、今秋に調達プロセスの提案依頼を開始する予定だとしている。

アルガブラ運輸相は「トロントからケベックシティまで、より速く、より信頼性が高く、より頻繁で、よりクリーンな輸送サービスを提供することにより、旅客鉄道サービスを変革する可能性を秘めた大規模な輸送プロジェクト」と強調した。

ただし、モントリオール~トロント間の高速鉄道計画は、過去数十年間に何度も持ち上がっては消えてきた歴史があるため、市民にとって目新しい話題ではないようだ。

また、6月には、アルバータ州の最大都市カルガリーと州都エドモントン間の約300キロを結ぶ超高速輸送ライン、ハイパーループの実装に関する実現可能性調査が完了したとの報道があった(CBCニュース6月25日)。ハイパーループは、列車のようなポッドで磁気チューブを往復することで、2都市間を最高時速1,000キロ、約45分で結ぶという。

カナダで進行する2つの長距離高速輸送計画。既存の鉄道サービスの向上か、革新的技術の導入か、どちらが先に実現するか、今後の動向が注目される。

(注)カナダの貨物輸送は、カナディアン・ナショナル鉄道とカナダ太平洋鉄道の2大鉄道事業会社が行っている。

(江崎江里子)

(カナダ)

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