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強制ライセンスに関する改正法案が下院通過

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年07月13日

強制ライセンスに関するブラジル産業財産法の改正法案が7月6日、下院で修正の上、通過した。ブラジルでは産業財産法第71条で、連邦行政当局の決定により国家緊急事態または公共の利益に関する事態と宣言された場合、特許権者または実施権者がそれに係わる必要を満たさないときは、特許権者の権利を損なわないことを条件として、職権により、その特許を実施するための一時的かつ非排他的使用を認める強制ライセンス(注)を付与することができると定めている。

今回の改正法案の主要な点は以下のとおり。

  • 全国的な公共災害の場合には、国民議会の決定により強制ライセンスを付与することが可能になる。
  • 連邦行政当局は、宣言や決定から30日以内にライセンスの対象となる特許、または特許出願のリストを公表し、ライセンス付与期間を設定する。リストの作成に際しては、公共団体や教育研究機関などと協議しなければならない。
  • 国内需要を満たすことができる場合や、生産技術移転または自主的ライセンスの対象となる特許または特許出願はリストから除くことができる。
  • 連邦行政当局はリスト公表から30日以内にリストに記載された特許の評価を行い、有用と判断した場合に限り、技術的かつ経済的能力が証明されている生産者に対してライセンスを付与する。
  • 強制ライセンスの対象となる特許権者または特許出願人は、生産のための必要かつ十分な情報を提供する義務を負う。
  • 強制ライセンスの対象となる特許権者または特許出願人に対するロイヤリティーは、付与された実施権の経済的価値や生産コスト、国内市場での販売価格などの状況を考慮して裁定されるまでは、製品の販売価格の1.5%に固定する。
  • 強制ライセンスの対象となる特許出願人へのロイヤルティーは、特許が付与された場合にのみ支払うものとし、ブラジル産業財産庁は、強制ライセンスの対象となる特許出願の審査を優先する。
  • 人道的な理由による医薬品の製造能力が不十分な国への輸出を目的とした強制ライセンスの付与が可能になる。

この法案はもともと、新型コロナワウイルスクチン関連の知財保護義務を放棄する内容で、4月29日に上院を通過したが、今回、下院で大幅に修正されたため、再び上院に戻って審議される予定だ。

(注)他人の特許発明などをその特許権者などの同意を得ることなく、あるいは意に反して、第三者が実施する権利。

(貝沼憲司)

(ブラジル)

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