ブラジルのトウモロコシ生産量、天候不順で減少の見通し

(ブラジル、アルゼンチン)

サンパウロ発

2021年07月28日

ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は7月8日、第10回穀物作柄調査を発表した。それよると、2020/2021年度(2020年10月~2021年9月)のトウモロコシ生産量は前年度比9%減の9,338万トンを見込んでいる。6月に発表した第9回調査で予測していた9,639万トンから下方修正した。

これは、6~7月ごろに収穫する第2作(注)が干ばつや霜の影響を受けていることを考慮したため。

トウモロコシの主要生産州の1つの中西部マットグロッソ・ド・スル州では、長期にわたる水不足などで、サンパウロ州との州境付近の作付けが打撃を受けた。また、6月末に気温が急激に低下したことに伴う霜の影響で、干ばつの影響を受けなかったマットグロッソ・ド・スル州南部の作物も打撃を受けた。

南部パラナ州でも収穫を前に霜の影響を受けている。パラナ州政府農業経済局は7月22日付の週間報告で、同月中旬に州内で報告された霜の被害に触れ、国内の天候不順は、CONABがブラジル全体で今年度見込んでいるトウモロコシ生産量(9,338万トン)を9,000万トン以下に押し下げる可能性に言及している。

農業経済研究所(IMEA)のダニエル・ラトラカ部長は22日、国内最大のトウモロコシ生産地マットグロッソ・ド・スル州で開催された「全国トウモロコシ収穫オープン2021」で、今年度の同州の生産量予測を3,600万トンから3,200万トンに下方修正したことを発表した。原因は作付け時期の遅延と干ばつ、害虫の影響によるもの。

CONABが発表したトウモロコシの需給予測(添付資料表参照)を見ると、供給が需要を上回っていることが分かる。ただ、各生産地の天候不順が重なると、供給が滞る可能性がある。アグリビジネスのコンサルタント会社コゴのカルロス・コゴ社長は19日、同日時点のトウモロコシ価格(1袋60キロ)について、国産が97.48レアル(約2,047円、1レアル=約21円)、アルゼンチン産が91.82レアルとなっていることを示した。その上で「今後収穫期が近づいているアルゼンチン産のトウモロコシ輸入が増えることが見込まれる」と分析した。

(注)ブラジルでは多くの生産地域で、同じ土地で1年に大豆とトウモロコシを、またはトウモロコシを2回収穫することができる。トウモロコシは栽培時期に応じて3区分に分かれている。6~7月ごろに収穫するのが第2作。

(古木勇生)

(ブラジル、アルゼンチン)

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