海南自由貿易港政策開始から1年、免税売上高は前年同期比3倍に

(中国)

広州発

2021年07月13日

中国の海南自由貿易港は、観光業を重点産業の1つとしている。具体的には、海南省での観光や消費を奨励するため、海南離島免税額(1人当たりの年間購入限度額)を2020年7月1日から3万元(約51万円、1元=約17円)から10万元に引き上げた(2020年7月9日記事参照)。海口税関によると、同日から2021年6月30日までに、海南離島での免税対象購入金額は前年同期比3倍の468億元、観光客は同2倍の628万人と大幅に増加している。

税関総署は2021年2月、島外旅客向けの免税商品郵送サービス(注1)や、島内住民向けの免税商品預かりサービス(注2)の提供を発表している。海口税関によると、6月末までに延べ23万人の離島旅客向けに総額約12億3,000万元の免税品を郵送した(約208万件)。島内住民向けサービスでは、延べ1万3,000人の島内住民から約12万件の免税品を預かり、総額約1億元に達したという。

7月時点で、海南自由貿易港には中国免税品集団外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます海南省発展控股有限公司外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、深セン市国有免税商品(集団)有限公司、中国出国人員服務総公司外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます海南旅游投資発展有限公司外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの5社が計9店舗の免税店を運営している。そのうち5店舗を運営する中国免税品集団の2020年決算報告書によると、2020年の売り上げは前年同期比8.2%増の526億元で、うち海南省事業の売り上げは2倍の299億6,200万元だった。なお、米国の格付け会社ムーディーズなどが発表した「全世界免税企業ランキング」で、同社は2019年の世界4位から、2020年には世界1位になったという。

2021年に入り、海南省で免税店を経営している大手国有企業と海外企業との連携が進展している。海南省発展控股有限公司は1月、スイス免税大手Dufryとの提携を発表、深セン市国有免税集団は5月8日に、フランスファッション大手LVMH傘下のDFSグループと戦略協議書に調印している。

(注1)離島免税店内、または承認されたインターネット販売窓口で免税商品を購入した際に、空港や鉄道駅などでの受け取り・配送を選択できるサービス。

(注2)島民が離島前に免税品店で購入した商品を店に預けておき、島に戻った際に受け取れるサービス。

(梁梓園)

(中国)

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