世界初のコンテナ輸送用懸垂式スマートモノレールの運行を開始

(中国)

青島発

2021年07月07日

中国・青島港で6月29日、世界初となる、コンテナを自動輸送する懸垂式スマートモノレールの試行区間での運行が開始した。2019年に山東省港口集団(以下、山東港口)が「懸垂式スマートモノレールコンテナ輸送システム(試行区間)プロジェクト」を提案し、2020年11月に同プロジェクトの実施が調印された。

山東港口の2020年の貨物取扱量は14億2,000万トン、3,147万TEU(20フィートコンテナ換算)で、うち青島港の取扱量は前年比37%の増加となり、コンテナ取扱量増加に伴い、港湾エリアの交通負荷も増大していた。システムは、青島港を管理する山東港口青島港と世界最大の鉄道車両メーカー、中国中車傘下の中車長江集団長江公司によって共同で開発された。

試行区間は全長620メートル、青島港前港湾区自動化埠頭(ふとう)から、人工埠頭コンテナ保管区までをつなぐ。高架軌道の下部にコンテナをつり下げて運ぶため、場所の制限が少なく、地上の交通状況の影響を受けない。機能面ではBDS(北斗衛星導航系統、中国独自の衛星測位システム)、5G(第5世代移動通信システム)、自動運転などの先進技術の導入により、全自動・スマート運行を可能としており、陸海複合一貫輸送、税関検査、越境EC(電子商取引)など各種港湾業務での活用も期待されている。

また、全過程において電力で稼働するため、伝統的なコンテナトラックに比べて50%以上の消費エネルギーの削減も見込まれるほか、道路や鉄道の整備と比べて、資金、用地、工期面で大幅な節減が可能となる。本システムの本格導入を通じた輸送効率、安全面の向上などにより、港湾能力の一層の強化が期待される。

(董玥涵)

(中国)

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