2020年の機械輸出額、中国が初めてドイツを抜き世界最大に

(ドイツ、中国、世界)

ミュンヘン発

2021年07月20日

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は7月7日、機械・同設備の輸出で、2020年に中国が初めてドイツを抜き、世界最大になったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2020年の世界の機械・同設備の輸出総額1兆480億ユーロ(速報値)のうち、中国は1,650億ユーロで15.8%を占め最大となった。ドイツは1,620億ユーロでシェアは15.5%。2019年はドイツが15.7%、中国が14.3%のシェアだったが、一気に逆転した。

VDMAのウルリッヒ・アッカーマン対外経済部長は、中国の輸出額が最大となった理由について、中国が新型コロナウイルス感染拡大の影響を早期に受け、かつ、短期間で回復した一方、欧州は影響を長く受けた点を挙げた。その上で、2021年にEU経済が力強く回復すれば、ドイツおよび他の欧州諸国からの輸出が再び増える可能性はあるとしたものの、「長期的なトレンドは明確に中国にある」とコメントした。

VDMAは今回、スイス機械・電機・金属工業会(SWISSMEM)などと取りまとめた中国の機械・同設備市場に関する報告書を発表した(要約はVDMAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで閲覧可)。報告書の題名は、「変容する中国市場-機械製造はいかに競争力を保てるか」。報告書では、「中国製造2025」や「第14次5カ年(2021~2025年)規画」(2021年3月10日記事参照)、中国の対外経済政策がドイツ・スイスの機械・同設備企業にもたらす影響などが分析されている。

また同報告書では、中国市場はドイツの機械・同設備企業にとって、引き続き有望な輸出先とされている。例えば、中国の産業用ロボット稼働台数は従業員1万人当たり187台で、シンガポール(918台)、韓国(868台)、ドイツ(346台)、米国(228台)などに比べて少なく、今後の需要が見込まれる。ドイツ・スイスの機械・同設備企業222社に行ったアンケートでは、36%が「中国製造2025」が自社ビジネスにプラスに影響すると回答している。VDMAが発表した中国側統計によると、2020年の中国の機械輸入額は1,046億7,000万ユーロで、国別のシェアは日本26.6%、ドイツ17.0%、韓国11.5%、米国10.5%となった。

アッカーマン対外経済部長は、信頼性やエネルギー効率が高く、ネットワーク接続にも優れた欧州製の機械・同設備の中国での需要は引き続き高いとした上で、中国が技術的独立を目指し、枠組み条件や技術開発、個別市場に関与してきている点には留意が必要としている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

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