第2四半期のGDP成長率、速報値で前期比年率マイナス2.0%

(シンガポール)

シンガポール発

2021年07月14日

シンガポール貿易産業省(MTI)は7月14日、2021年第2四半期(4~6月)のGDP成長率が速報値(注)で前期比年率マイナス2.0%(季節調整済み)と、3期連続のプラスから一転マイナス成長になった(添付資料表参照)。前年同期比ベースでは第2四半期のGDP成長率は14.3%だった。MTIは前年同期比で2桁増の理由について、比較対象となる2020年第2四半期が、同年4月7日から6月1日までの新型コロナウイルスに伴う職場閉鎖(サーキットブレーカー)で製造活動などを除く経済活動が停止に追い込まれ、2桁のマイナス成長に落ち込んだことによるもの。MTIによると、実態ベースでは2021年第2四半期のGDP成長率は依然、新型コロナウイルス流行前の2019年第2四半期のレベルを0.9%下回っている。

分野別では、製造業が2021年第1四半期の前期比11.4%の2桁増から、第2四半期に1.8%減と減速した。製造業全体ではやや減速したものの、半導体と半導体製造装置は世界的な需要が引き続き堅調で、エレクトロニクスと精密エンジニアリングの両部門が拡大した。また、建設も第1四半期の4.5%増から、第2四半期には11.0%減となった。

サービスも2021年第1四半期の前期比1.0%増から、第2四半期に1.0%減とマイナスに転じた。サービス分野のうち、卸売り・小売り部門は第2四半期に0.4%減、宿泊・食品サービス・不動産・事務サポート・その他サービスが3.0%減だったほか、情報通信・金融・保険・専門サービス部門が0.4%増となった。飲食・その他サービスは回復途上にあったが、変異株を含む新型コロナウイルスの再感染拡大で5月16日から6月13日まで経済活動再開の第2段階(フェーズ2)に逆戻りし、飲食店内での食事を禁止するなど感染防止対策が強化され、再び打撃を受けている(2021年6月15日記事参照)。

MTIは2021年通年のGDP成長率見通しについて、「前年比4.0~6.0%」とのプラス成長の予測を維持している。同省は8月に、公式予測を見直す予定(2021年5月25日記事参照)。

(注)2021年第2四半期のGDP成長率の速報値は同年4~5月の統計に基づく数値。MTIは8月中旬に、同年第2四半期のGDPの改定値を発表する予定。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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