裾野産業への税優遇、2015年より前に開始の事業も対象に

(ベトナム)

ハノイ発

2021年06月17日

ベトナム政府は6月4日付で、裾野産業の法人税優遇について補足する政令57号(57/2021/ND-CP)を公布し、同日から有効となった。これにより、裾野産業を構成する製品の生産事業のうち、2015年より前に開始された案件も、法人税の優遇措置の対象に含まれることになった。

裾野産業の法人税優遇については、これまで2015年1月1日以降の新規投資および拡張投資が対象となる一方、2014年12月31日以前に開始された案件の扱いが明記されていなかった。そのため、2015年より前に進出した企業は、管轄当局より同優遇を受けるための証明書を取得したにもかかわらず、税務総局から優遇措置を認められないという事態が発生していた。この問題は、ベトナム政府と日系企業の対話の場でも議論されてきたが、このたびの政令57号の公布により、事業開始時期を問わず、優遇が認められることになった。

裾野産業に対する優遇措置では、通常20%の法人税率が、売上高を計上した年度から15年間は10%に減額される。同時に、課税所得を計上した年度から4年間は免税、その後の9年間は50%の減税が適用される。対象となり得る事業は、以下の裾野産業6分野の製品を生産する案件で、詳細は政令111号(111/2015/ND-CP)および通達55号(55/2015/TT-BCT)で規定されている。

  1. 繊維・縫製(生地、縫糸、縫製付属・副資材など)
  2. 皮革・履物(靴用皮革、靴用接着剤、装飾副資材など)
  3. 電子(樹脂部品、ゴム部品、機械・電子部品、ガラス部品などの電子製品部品、電話の充電器、電線・ケーブル、LED電球)
  4. 自動車製造組み立て(エンジンおよびその部品、ランプ、クラクション、メーターなど照明および信号システム、ブレーキシステムなど)
  5. 機械製造(金型、治具、工作機械・溶接機械の部品および付属品、工業用鋼など)
  6. ハイテク産業向け裾野産業製品(各種金型、各種設備開発用の電子部品・超小型電子回路、各種高品質樹脂部品など)

政令57号の対象となる場合は、裾野産業の優遇を受けるための証明書が付与された年度から、法人税優遇措置が適用される。ただし、既に他の法人税優遇措置を享受している場合は、その期間を差し引いた残存期間に対して適用される。

(庄浩充)

(ベトナム)

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