第1四半期GDP成長率、前年同期比2.5%、パンデミック前の水準には程遠く

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年06月30日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は6月22日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDPを発表した。前年同期比2.5%増、前期比(季節調整済み)2.6%増となった。経済は上向いているが、新型コロナウイルス感染のパンデミック前の水準まで回復するには至っていない(添付資料図参照)。

産業分野別に前年同期比でみると、16分野のうち7分野がプラスとなった(添付資料表参照)。GDP全体を大きく押し上げたのは製造業と商業・修理業の2分野、大きく押し下げたのは運送・倉庫・通信とホテル・レストランの2分野だ。

需要項目別に前年同期比でみると、総固定資本形成がGDP全体を大きく押し上げた。GDPに占める割合が大きい民間消費は、インフレ率が賃金上昇率を上回って購買力が低下したことを背景に、落ち込んだままだ。

第2四半期(4~6月)は、第1四半期と比較して低迷することが見込まれている。新型コロナウイルス新規感染者数が急増したことを受け、厳しい行動制限措置が導入されていることに加え、製造業も感染者の発生を受けて生産ラインを止めるなどの影響を受けたことから、生産活動が停滞したとみられている。

中央銀行が集計する国内外エコノミストによる5月時点の2021年の実質GDP成長率見通しは6.0%で、4月の調査から0.4ポイント低下した。通貨安、高インフレといったアルゼンチン経済の構造的問題にパンデミックの影響が加わり、前年の落ち込みを回復するには至らない厳しい見通しとなっている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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