ドイツ・ノルウェー間で再生可能エネルギー融通開始、建設に日系企業も参加

(ドイツ、ノルウェー)

デュッセルドルフ発

2021年06月07日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相とノルウェーのエルナ・ソルベルグ首相は5月27日、両国を接続する電力ケーブル「ノルドリンク(NordLink)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の開通式を行った。両国間の初の直流送電システムで、双方の電力市場に信頼性が高く安定的な供給を確保することを目的とする。ドイツ北部のビルスター、ノルウェー南部のトンスタでそれぞれの国内送電網に接続している。ノルドリンクにより両国は相互に電力の直接供給が可能となる。具体的には、ドイツで発電量が低い場合はノルウェーの水力発電によって不足分を補い、ノルウェーの電力需要が高い場合はドイツの風力発電による電力を供給し、ノルウェーでの水力発電を節約できる。

メルケル首相は開通式のスピーチで、ノルドリンクを「両国間のエネルギー提携にとっての大きな成功だ」と述べ、「二酸化炭素(CO2)を排出しない再生可能エネルギーの交換が最も重要だ」と指摘した。また「欧州グリーン・ディール」とEUの気候保護目標(2021年4月22日記事参照)がエネルギー部門の抜本的な変革を必要としている中で、「ドイツが気候中立の達成を2045年に前倒しした(2021年5月24日記事参照)ため、段階的な脱化石燃料・脱原発には再生可能エネルギーの拡大が必要」とし、「目標達成には再生可能エネルギーの発電だけでなく、送電網を整備し消費者への供給ルートを確保することが必要」と指摘した。他方で、ノルドリンクだけではドイツのエネルギーや送電網の問題は解決しないと強調し、「北ドイツから南ドイツへの送電網の改善も重要」と付け加えた。

ノルドリンクは全長623キロで、ノルウェーの送電システムオペーレーターのスタットネットと、ドイツやオランダで送電事業を行うテネットとドイツ復興金融公庫(KfW)が50%ずつ出資し設立したノルドゼーケーブルが参画するコンソーシアムにより実現。日系企業では、日立ABBパワーグリッドがノルウェー南部とドイツ北部の変換所の設計、エンジニアリング、供給を担当した。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ、ノルウェー)

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