5月のインフレ率は年率5.89%、中銀目標上限を引き続き上回る

(メキシコ)

米州課

2021年06月24日

メキシコ国立地理情報統計院(INEGI)は6月9日、5月の消費者物価上昇(インフレ)率を発表した。前月比で0.20%、前年同月比(年率)で5.89%だった(別添資料表1参照)。

前月比の上昇率の内訳をみると、天候などによる価格変動が大きい農産品、エネルギー価格、政府の方針で決定される公共料金を除いたコア指数が0.53%の上昇だった(添付資料表2参照)。食品、飲料、たばこ(0.81%増)などが押し上げ要因となった。

非コアの指数は前月比マイナス0.75%だった。トマトやオレンジなど果物・野菜の上昇(2.88%)などにより農畜産品価格は上昇(1.91%)したが、エネルギー価格(3.85%減)、光熱費・公共料金(2.71%減)の価格低下が非コア全体を押し下げる要因となった(添付資料3参照)。

前年同月比(年率)を見ると、4月の6.08%に引き続き5.89%と、中央銀行が設定する3%±1%の年間インフレ目標を大幅に上回った(添付資料図参照)。5月のエネルギー価格が前年同月比で22.96%も上昇したことが押し上げの要因だ。しかし、これは主として、前年同期にみられた原油をはじめとしたエネルギー価格低下からの反動による増加だ。2020年5月のエネルギー価格は前年同月比で11.34%下落している。ただ、エネルギー価格は2020年6月以降、前月比ベースで上昇に転じていることから、「前年のエネルギー価格低下からの反動増」という要因の影響は今後徐々に縮小していくとみられる。6月24日に中銀の金融政策決定会合が開催されるが、将来のインフレ予測や米国金融市場の動きをどのように評価し判断するのか注目が集まる。

(高氏朋佳)

(メキシコ)

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