バグボ前大統領に対するICCの無罪判決が確定、約10年ぶりに帰国

(コートジボワール)

アビジャン発

2021年06月24日

アフリカ西部コートジボワールのローラン・バグボ前大統領が6月17日、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)で無罪判決が確定したことを受け、約10年ぶりに帰国した。前大統領は2010年の大統領選をめぐる内戦についてICCに起訴されていた。アラサン・ワタラ大統領は国民和解を促す契機として帰国を容認している。

バグボ氏の支持者らは街頭に繰り出し、前大統領の帰国に沸いた。バグボ氏は支持者を前に、収監中にアフリカ諸国が支援したことに謝意を表するとともに、「コートジボワール、そしてアフリカに帰れてうれしい」と述べた。現地メディアの論調は総じて「社会緊張を緩和し、国民和解と融和を促進する」と好意的だが、内戦の被害者団体は反発を強めている。

コートジボワールでは、2010年の大統領選でバグボ氏が敗北を認めなかったことから、数カ月にわたって内戦状態となり、約3,000人が死亡した。2011年4月に国際社会の支援でワタラ大統領が就任すると、バグボ氏は逮捕されてICCへ身柄を引き渡された。その後「戦争に対する罪」と「人道に対する罪」でICCに起訴されたが、罪状の証明や証拠不十分により2021年3月に無罪が確定した。

一方、国内では2019年に本人不在中の裁判で、内戦当時の西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)の接収と資金横領の罪で、懲役20年の判決を出ており、国内で訴追される可能性もある。ワタラ大統領がバグボ氏に恩赦を与えるか注目が集まる。

バグボ氏の起訴をめぐっては、アンゴラやモザンビーク、赤道ギニア、南アフリカ共和国、ガーナ、ベナンなどの現・旧大統領も、バグボ氏の公判前に「コートジボワールの真の国民和解を促すにはバグボ氏の存在が欠かせない」として、ICC検事総長宛てに釈放を訴える公開状を送っていた。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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