第1四半期GDP成長率は前期比マイナス1.8%、5月の景況感は高水準で今後の回復に期待

(ドイツ)

ベルリン発

2021年06月03日

ドイツ連邦統計局は5月25日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(確定値)を前期比マイナス1.8%(季節調整済み)と発表した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年11月から導入されたロックダウン(2020年10月30日記事参照)の影響が続き、2020年第2四半期以来のマイナス成長に転じた。今回の確定値では、4月30日発表の速報値である前期比マイナス1.7%から0.1ポイント下方修正された。また、前年同期比ではマイナス3.1%だった。

需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、個人消費が前期比5.4%減、最終消費支出も3.6%減と落ち込み、成長の足かせとなった。総固定資本形成は、建設投資が1.1%増と伸びたが、機械設備投資が0.2%減と縮小し、0.3%増にとどまった。外需(純輸出)については、輸出入はいずれも増加したものの、輸入の伸び(3.8%増)が輸出の伸び(1.8%増)を上回ったため0.6%減となり、GDP成長率を0.6ポイント押し下げた。

産業別でみると、製造業は前期比0.4%増の微増だった一方、卸小売・運輸・宿泊・飲食業は3.2%減だった。建設業は年初の非常に寒冷な気象状況の影響などにより、4.9%の大幅減となった。

景況感は2年ぶりの高水準、飲食・観光、貿易部門で急上昇

ifo経済研究所によると、5月25日発表の5月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は、99.2と2019年5月以来の高水準を記録した。新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に減少し、各種行動規制が緩和されつつある状況を背景に、期待感が高まっている。また、5月のDI値(注)は、特に飲食業・宿泊業や観光業などを含むサービス部門で13.7となり、前月の3.5から急上昇した。また、商業部門でも8.4と前月のマイナス0.5から大きく上昇し、景気の先行きに対する見通しは全体的に明るくなっている。

(注)Diffusion Indexの略。ビジネスの状況を「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた値。

(中村容子)

(ドイツ)

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