邦人も対象に含む大規模ワクチン接種計画が進展

(世界、アジア、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、韓国、EU、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、ロシア、北米、米国、カナダ、中南米、ブラジル、メキシコ、チリ、ペルー、中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、アフリカ、南アフリカ共和国)

国際経済課

2021年06月08日

6月2~7日に現地で収集した情報を基に、世界主要国・地域における新型コロナウイルス感染症のワクチン接種状況やワクチン証明書の発行状況などをまとめた(添付資料表参照)。

5月初めに、1日当たりの新型コロナ新規感染者が40万人を超えるなど、感染拡大のピークを迎えたインドでは5月1日以降、18歳以上を対象とした新型コロナワクチンの接種が段階的に進展。6月6日までに延べ2億3,000万件を超える接種が完了し、感染拡大も抑制されつつある。インド政府のデジタルプラットフォーム「Co-Win」を活用した接種予約のシステムでは、在留邦人も、医療機関ごとに接種するワクチンの選択が可能だ。

また、中国でも、5月30日までのワクチンの累計接種件数はのべ6億3,917万2,000件に達したことが報告されている。省や市によって在留外国人に対する接種方針に違いはあるものの、主要都市では18歳以上の在留邦人の間でも、段階的に接種が進んでいる。

シンガポールを除き、ワクチン接種率が相対的に低い東南アジア地域でも、各国で本格的な接種計画が始動する。タイでは6月7日から、1日当たり約86万回接種を目標とする大規模接種計画を開始。在留邦人を含む在タイ外国人のワクチン接種も同日開始の方針が示され、政府が外国人向けのワクチン接種登録の方法を公表している(2021年5月26日記事参照)。また、感染拡大に収束がみられないフィリピンでも、6月7日から、民間・政府機関の非医療関係者や現場従事者へ接種対象を拡大するなど、政府が対応を急ぐ。

米国では、6月6日までに全人口の42%が既にワクチン接種を完了。また、52%の約1億7,000万人超が少なくとも1回のワクチン接種を終えている。EU全体でも、6月4日までに18歳以上の47%が初回の接種を完了している。それぞれ、在留邦人の間でも、段階的なワクチンの接種が進んでいる。

また、人口約900万人のうち、500万人超のワクチン接種が既に完了しているイスラエルでは、6月1日から、新型コロナウイルスに関する国内の各種規制を全て解除すると発表。これにより、各種施設への入場する際のワクチン接種証明書の提示や、職場における収容人数制限なども原則撤廃される。

ワクチン接種証明書の導入や相互承認の動きでは、EUの取り組みが先行する。5月20日、欧州議会とEU理事会は「デジタルCOVID証明書」という名称の下、7月1日から新たな証明制度の本格運用を開始することで合意。デジタル・紙の双方に対応する、(1)ワクチン接種証明、(2)検査結果証明、(3)回復証明の3種類の証明書を各加盟国が発行する。各加盟国が発行する証明は、EU共通のデジタルプラットフォーム「EUゲートウェイ」により認証され、EU全域で有効な証明書となる。「EUゲートウェイ」は6月1日から供用を開始し、既にドイツ、スペインなど9カ国が接続済み。当該9カ国では、EUデジタルCOVID証明書の発行を開始している。また、EUと同等性のある証明書を発行する域外国についても、相互承認を行う方向で調整が進む。また、EUは、域外国からの入域についても、ワクチン接種完了者への入域制限を緩和することを決定しており、今後の運用が注目される。

(伊藤博敏)

(世界、アジア、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、インド、中国、韓国、EU、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、ロシア、北米、米国、カナダ、中南米、ブラジル、メキシコ、チリ、ペルー、中東、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビア、イスラエル、アフリカ、南アフリカ共和国)

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