フランスのマクロン大統領がルワンダ訪問、1994年の虐殺の責任を認める
(ルワンダ、フランス、ケニア)
中東アフリカ課
2021年06月03日
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はルワンダを訪問中の5月27日、首都キガリで演説し、同国で1994年に発生した虐殺(ジェノサイド)について、フランスに大きな責任があると表明した。虐殺では約100日間で少数派ツチ族やフツ族穏健派の約80万~100万人が犠牲になったとされており、フランスは当時、部隊が現地に駐留していた。マクロン大統領は「フランスは共犯者ではなかった」として謝罪はしなかったものの、ルワンダのポール・カガメ大統領は記者会見で「謝罪より価値があり、真実を語った」と述べ、マクロン大統領の演説を歓迎した。現地紙も「真実に基づく新たな2国間関係」など大きく報じている(New Times電子版5月28日)。
これに先立つ同月18日には、フランス・パリで「アフリカ経済復興サミット」が開催されており、カガメ大統領も参加し、その機会に現地で軍関係者らとも面談していた。
また、フランスのジャン=イブ・ル・ドリアン欧州・外務相も今回の訪問に同行し、2国間協力やルワンダのスポーツ振興・人材育成などに関する協定が締結されたほか、10万回分の新型コロナウイルスのワクチンが提供された。
虐殺後の2000年に就任したカガメ大統領の下で、ルワンダは国民融和を進め、高い経済成長率を実現し、「アフリカの奇跡」とも呼ばれてきたが、フランスとは2006~2009年に国交を断絶し、2009年には教育言語をフランス語から英語に変更するなど、フランスと距離を置く政策がとられてきた。一方で、2021年3月にはフランスの歴史学者などで構成されるルワンダに関する歴史委員会が、虐殺に対するフランスの責任を指摘する報告書を大統領府に提出するなど、長年にわたり冷え込んだ両国関係の改善に向けた取り組みが模索されてきた。カガメ大統領も、同報告書は画期的で、関係改善の扉を開くものと評価していた。今回のルワンダ訪問と演説が今後の関係強化につながるか注目される。
(小松崎宏之)
(ルワンダ、フランス、ケニア)
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