新たな通関事前申告システム導入で混乱

(エジプト)

カイロ発

2021年06月08日

エジプトは4月から、輸入貨物通関の事前申告制度(Advanced Cargo Information:ACI)の試験運用を始めた(2021年5月21日記事参照)。新たに導入したシステムのトラブルなどもあり、混乱が生じている。現地の輸入者や複数の業界団体は、7月1日に予定される正式導入を数カ月~1年程度延期するよう、政府に要請している。国外の団体やエジプト向け輸出者からも、延期の要請やシステムの改善を望む声が聞かれる。一方で、ACIシステムのNafeza(National Single Window for Foreign Trade Facilitation)や税関を管轄する財務省は、いまのところ延期の動きを見せていない。

正式運用開始が延期にならなかった場合、エジプトでの輸入においてトラブルが相次ぐことが懸念されている。背景には、本システム導入に関する事前の周知が十分でなかったことや、運用側で会社情報の登録が遅れていることなどがある。システムの不備や運用の不明瞭な部分、ネットワークトラブルなどの課題も指摘されている。財務省は、数百社のエジプト輸入者の会社情報を登録済みとしているものの、試験運用に指定された輸入者が限定的で、未登録の輸入者も多い。会社情報登録済みの輸入者においても、事前申告の手続き実務を進めている企業は多くないようだ。

輸入側と輸出側でオンライン手続きが必要に

今回のシステム導入により、事前に会社情報の登録と申告番号(ACID)の入手が必要になる。輸出者側はCargoXのシステムで、申告ごとに通関書類をオンライン上にアップロードし、オンラインで手数料を支払う(CargoXManual外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。エジプト税関、港湾、輸入者側はNafezaのシステムで手続き・管理を行う(Nafezaウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。CargoX上の手続き・決済は、Nafezaに反映される仕組みだ。システムの運用方法や開始時期が変更になる可能性もあり、エジプト向け輸出者、エジプトの輸入者などは、上記ウェブサイトなどで最新情報を確認する必要がある。

なお、本件に関する実務上の相談については、ジェトロの貿易投資相談窓口でも受け付けている。

(井澤壌士)

(エジプト)

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