国境封鎖を6月末まで延長、一部の新型コロナワクチンの接種対象年齢を変更

(チリ)

サンティアゴ発

2021年06月09日

チリ保健省は6月7日、同月15日までを期限としていた国境封鎖措置(2021年5月27日記事参照)を6月30日まで延長すると発表した。チリでは新型コロナウイルスワクチン接種について、6日時点で人口の43.3%に当たる842万205人が2回接種を終えているが、1日当たりの新規感染者数は7日に6,958人と、首都圏州全域がロックダウンとなった3月下旬の水準まで上昇し、国内の集中治療室(ICU)の病床占有率(新型コロナ感染者以外の利用者を含む)は96%にまで達している。

ワクチン接種が進む中での感染者増加については疑問の声も上がっている。保健省は、1日当たりの感染者数の75%がワクチン未接種者もしくはワクチン接種未完了者だとし、新たにワクチン未接種者を対象とした接種期間を設置したり、労働者向けにワクチン接種のための半日休暇取得許可法が施行されたりするなど、接種促進への取り組みを行っている。

ファイザーとアストラゼネカ製ワクチン、接種対象年齢を変更へ

チリ公衆保健院(ISP)は5月31日、米国ファイザー製ワクチンの12~16歳への緊急使用を承認した。これまでは、16歳以上に限って接種を許可していたが、5月20日にファイザーとビオンテックの共同研究所から、12~16歳へのワクチン接種の臨床試験データの共有と、接種対象年齢引き下げの要求があった。ISPは、全国予防接種プログラム(PNI)の専門家グループとワクチン諮問委員会(CAVEI)とともに検討した結果、同対象年齢への使用を承認するに至っている。

一方で、保健省は6月3日、英国アストラゼネカ製ワクチンを接種した31歳の男性が血小板減少症を伴う血栓症を発症したことを受け、因果関係の分析結果が出るまでの予防措置として、同社製ワクチンの45歳未満への接種を一時中断することを発表した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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