サムスン電子、6G通信システムの実演に成功

(韓国)

ソウル発

2021年06月22日

韓国のサムスン電子は6月16日、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)と共同で、第6世代移動体通信システム(6G)の実用化に向けたテラヘルツ帯域(注)での通信システム実演に成功したと発表した。国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)によれば、2020年から2030年にモバイルデータ通信は、年平均54%増と予想され、データの収容のためには、より広い通信帯域幅が必要となっている。

高い周波数の帯域は、電波の特性上、伝送損失が大きく、電波の到達距離が短くなる問題があり、通信システム内に多くのアンテナを集積し、電波を特定方向に送受するビームフォーミングの確立が求められている。また、超高速通信のためには、高周波回路の設計・加工技術が必要とされている。

今回、サムスン電子傘下のサムスンリサーチ、サムスンリサーチアメリカ、UCBSの研究グループが共同でテラヘルツ(THz)帯域の140ギガヘルツ(GHz)を利用し、送信機と受信機が15メートルの距離で6.2Gbpsのデータ送信速度を確保し、実演に成功した。実演結果は、IEEE国際通信会議のテラヘルツ波通信ワークショップで発表された。

サムスン電子は、高周波回路、アンテナ、ベースバンドモデムを統合し、リアルタイムで伝送する実演に成功したことで、6Gの実用化に向け、解決しなければならないテラヘルツ帯域の高い伝送損失など技術的な課題の解決に向け前進したと評価している。

(注)サムスン電子は、テラヘルツ帯域を100GHz~10THzの周波数帯域と定義。5Gが最高20Gbpsのデータ伝送速度なのに対し、6Gは5Gの50倍の速度の1Tbpsを目標としている。1Tbpsは、1秒間に1兆ビットを伝送する速度。

(当間正明)

(韓国)

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