アストラゼネカ製ワクチン接種者、2回目は異なるワクチン併用可能、カナダ国家諮問委が勧告

(カナダ)

トロント発

2021年06月03日

カナダの国家予防接種諮問委員会(NACI)は6月1日、各州や準州向けの新型コロナウイルスワクチン接種についてのガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を更新し、1回目にアストラゼネカ・オックスフォード(以下、アストラゼネカ)製のワクチンを接種した人は、2回目にファイザー・ビオンテック(以下、ファイザー)製やモデルナ製の各ワクチンの併用が可能と勧告した。NACIは、小児科や感染症、社会科学、公衆衛生などの分野の専門家で構成され、連邦政府に新しく承認されたワクチンの使用に関する指針を提供している。

今回のNACIの勧告は、(1)アストラゼネカ製ワクチンの初回接種者は、2回目の接種にアストラゼネカ製もしくはmRNAワクチン(ファイザー製またはモデルナ製のワクチン)を接種可能、(2)mRNAワクチンの初回接種者は、2回目の接種にも同じメーカーのmRNAワクチンを接種すべきだが、それが不可能な場合などは、別のメーカーのmRNAワクチンを接種可能、としている。NACIはガイドラインの中で、アストラゼネカ製ワクチンとmRNAワクチンを併用した場合の安全性や有効性は、ドイツや英国、スペインでの最近の研究や治験で裏付けられているとした。

カナダでは、アストラゼネカ製ワクチンはワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症の報告例の増加を受けて、5月中旬から多くの州で使用が中断されており、2回目の接種に関する動向が注目されていた。NACIのこれまでのガイドラインでは、接種に当たっては可能な場合には2回とも同じメーカーのワクチンを使用すべきと勧告していた。

連邦政府の最新データ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、カナダでは5月22日までにファイザー製ワクチンを少なくとも1回接種した人は1,300万人以上、モデルナ製は350万人以上、アストラゼネカ製は210万人以上となっている。5月28日時点で、1回目接種者は総人口の50.6%、2回目接種完了者は4.6%。カナダ公衆衛生庁は、同日発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した新型コロナウイルス感染拡大モデリングで、自己隔離や対人距離確保などの感染抑制措置を解除するためには、12歳以上の国民の75%がワクチン接種を完了する必要があるとの認識を示している。

(飯田洋子)

(カナダ)

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