5月の失業率は5.1%、「新型コロナ禍」前の水準に改善

(オーストラリア)

シドニー発

2021年06月18日

オーストラリア統計局(ABS)は6月17日、5月の雇用統計を発表し、失業者数(季節調整値)が前月から5万3,000人減少したことを明らかにした。失業率は0.4ポイント低下して5.1%となり、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年2月の水準まで改善した。

就業者数は11万5,200人(フルタイム労働者9万7,500人、パートタイム労働者1万7,700人)増加して、前月比0.9%増の1,312万5,100人となった。月間総労働時間は1.4%増加して18億1,400万時間だった。労働参加率は0.3ポイント上昇の66.2%、不完全雇用率は0.3ポイント低下の7.4%、労働力の未活用率は0.7ポイント低下の12.5%と、いずれも改善した。

失業率を州別にみると、ビクトリア州(0.7ポイント改善の4.8%)、クイーンズランド州(0.7ポイント改善の5.4%)で大きく改善したほか、ニューサウスウェールズ州(0.5ポイント改善の5.0%)、タスマニア州(0.5ポイント改善の5.7%)、西オーストラリア州(0.3ポイント改善の4.7%)でも改善がみられた。一方、北部準州(0.7ポイント悪化の4.5%)、首都特別地域(0.2ポイント悪化の3.6%)、南オーストラリア州(0.1ポイント悪化の5.8%)では悪化した。

ABSは、連邦政府の経済支援策の1つである賃金補助制度が3月28日に終了したことによる影響は4月以降の雇用統計に表れると予測していたが、「3月から5月にかけて雇用と労働時間の変化を分析した結果、賃金補助制度の終了による明確かつ総体的な影響は特定されなかった」と説明した。

最低賃金を2.5%引き上げ

オーストラリア公正労働委員会(FWC)は6月16日、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の最低賃金を一律2.5%引き上げると発表した。これにより、最低賃金は週給772.6オーストラリア・ドル(約6万4,126円、豪ドル、1豪ドル=約83円)、または時給(週38時間労働)20.33豪ドルとなる。新年度が始まる7月1日から適用するが、新型コロナウイルスの影響を大きく受ける職種については、適用開始日を遅らせる。小売業は9月1日から、航空、観光、娯楽、外食などの業界については11月1日から適用される。

(住裕美)

(オーストラリア)

ビジネス短信 19433d6362998da0