第1四半期のGDP成長率は7.8%、7四半期ぶりのプラス成長に

(香港)

香港発

2021年05月07日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は5月3日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率の推定値が前年同期比で7.8%だったと発表した(添付資料図参照)。四半期ベースでは、2019年第2四半期以来7四半期ぶりのプラス成長となり、その大きな要因として、貿易が非常に好調だったことと、比較対象となる前年の四半期が低水準だったことが挙げられた。

GDP成長率を需要項目別にみると、個人消費支出は、前年同期比1.6%増と前期の6.9%減から8.5ポイント上昇した。政府消費支出は、6.7%増と前期(6.1%増)から0.6ポイント上昇した。固定資本形成は、4.5%増と前期(3.6%増)から0.9ポイント上昇した。

貿易は、財輸出が、前年同期比30.6%増と、前期(5.5%増)から大きく25.1ポイント上昇した。財輸入も、23.3%増と前期(6.7%増)から16.6ポイント上昇した。サービス輸出は、前期(28.8%減)から減少幅が20.1ポイント縮小したものの、8.7%減となった。サービス輸入も、14.9%減(前期33.9%減)となった。

香港政府報道官は5月3日のプレスリリースにおいて、「主に中国本土と米国が牽引する世界経済の回復の中で財輸出が大きく伸びたことなどから、香港経済は2021年第1四半期に顕著な改善をみせ、6四半期続いたマイナス成長を終わらせた」と発言した。また、今後の見通しについては、「世界経済の回復は短期的に香港の財輸出にプラスとなり、サービス輸出も同様に改善が見込まれる。他方、世界各地で厳しいパンデミックの状況が続いており、観光セクターの回復は遅れるだろう。香港域内では、新型コロナウイルスの流行を十分に抑えることができれば、政府の各種施策と世界経済の改善に支えられ、2021年後半には、より広範囲で改善がみられると期待している」と述べた。

香港大手銀行の大新銀行エコノミストの温嘉煒氏、および星展銀行エコノミストの謝家曦氏はともに、「香港の景気後退は既に底打ちした。比較対象となる基数が低水準なことに加えて輸出が好調な状況下では、新型コロナウイルスの感染再拡大が発生しない限り、GDPのプラス成長は第2四半期まで続く」との見方を示した(「信報」5月4日)。

香港政府は5月14日に、2021年第1四半期のGDP成長率の詳細および2021年のGDP予測の改定値を公表する。

(野原哲也)

(香港)

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