第1四半期のGDP成長率は前年同期比マイナス0.5%

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年05月21日

マレーシア中央銀行と統計局は5月11日、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前年同期比マイナス0.5%と発表した。「新型コロナ禍」で4四半期連続のマイナス成長となったが、前期のマイナス3.4%からは回復がみられた。

内需と輸出が牽引役に

需要項目別にみると、内需の改善と堅調な輸出が回復に寄与した。内需は、前年同期比1.0%減と前期の4.5%減から減少幅が縮小した(添付資料表1、図参照)。うち、GDPの61.0%を占める個人消費が1.5%減と引き続きマイナス成長だったが、前期からは回復した。

1月中旬以降にクアラルンプール首都圏を含む一部地域において発令された、移動制限令(MCO)による家計支出への影響が懸念されていたがが、前年3~5月のMCOとは異なり、ほぼ全ての経済活動が条件付きで操業可能だったため、経済成長に与える打撃は少なかったとみられる。政府消費は、感染予防対策のための支出増で前年同期比5.9%増とさらに拡大した。民間投資は、製造業およびサービス業による新規・既存投資案件の資本支出増加で、前期の6.6%減から1.3%増へプラスに転じた。公共投資は、引き続き2桁減と振るわなかった。一方、輸出が2桁増と好調で、成長を押し上げた。

産業別では、製造業と農業以外の産業はマイナス成長となったが、軒並み前期の水準を上回った(添付資料表2参照)。製造業は、前年同期比6.6%増と前期の3.0%増から加速し、成長を牽引した。中でも、半導体への世界需要が高まり、電気、電子関連製品が特に好調だった。農業は、悪天候および労働力不足によるパーム油の減産が響いたが、林業・伐採の2桁増で0.4%増となった。サービス業は、食品・飲料、住宅、運送や不動産などの不調が全体を押し下げ、2.3%減だった。鉱業は、天然ガスの好転で5.0%減に改善した。建設業は、2桁減にとどまった。

2021年の成長率見通しについて、ノル・シャムシアー中央銀行総裁は6.0~7.5%に据え置いた。5月12日からの全国的なMCOの再発令による、経済的な影響が懸念されるものの、テンク・ザフルル財務相は「観光業を含む一部のサービス業は影響を受けると予想されるが、ほとんどの産業が操業できるため、2020年のMCOのような悪影響はない」と楽観的な見通しを示した(「ベルナマ通信」5月11日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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