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メキシコの炭化水素法改正は一時差し止め確定、米政府もUSMCA枠組みで対話開始へ

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2021年05月18日

メキシコの炭化水素法の改正問題について、同国のフアン・パブロ・ゴメス・フィエロ経済競争・放送・通信行政担当第2裁判官と、ロドリゴ・デ・ラ・ペサ・ロペス・フィゲロア経済競争・放送・通信行政担当第1連邦裁判官は5月17日、民間事業者の複数社が提訴した庇護訴訟(アンパロ、注1)の過程で、それぞれが暫定的な適用差し止めを命じていた同法改正(2021年3月30日4月16日5月6日5月12日5月14日記事参照)に関し、合憲判断が出るまでの差し止め措置を確定する決定を出した。両裁判官とも5月14日に公聴会を開き、行政府と民間事業者の双方の主張や論拠を集めた上で、同法改正が事業者にとって差し迫った修復不能な害を与えうると結論づけた。両裁判官が差し止めを命じた条項は暫定命令から変化はない。市場競争を平等に保つため、アンパロを提訴した事業者以外に対しても、当該条項についての改正効力が停止される。

今後、アンパロ法のプロセスに基づき、法改正が合憲かどうかを審理する公聴会が開かれ、その結果として違憲と判定されれば、改正の効力は最終的に失われる。逆に合憲となれば、差し止め措置は解除され、改正の効力が復活する。なお、行政府や立法府、地方自治体などはアンパロと並行して最高裁での憲法訴訟で合憲性を争うことも可能だ。

米石油協会はUSMCA自由貿易委員会での議論要請

炭化水素法の改正は、電力産業法の改正(2021年3月22日記事参照)と同様、多数のアンパロにより現時点で効力が停止されているが、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)政権の国営企業優先のエネルギー政策は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)など国際法の枠組みでも問題となる可能性がある。米国の約600の石油関連企業が加入する米国石油協会(API)は5月5日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官、ジーナ・レモンド商務長官、ジェニファー・グランホルム・エネルギー長官、キャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表に宛てて書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を送り、メキシコの電力産業法と炭化水素法の改正により、米国の投資家による新規投資が阻害されるだけでなく、既にメキシコで操業している米国企業に損害を与えると指摘。また、法改正以前にも行われていた許認可付与に関する差別的な措置によっても米国企業が損害を被っていると訴えた。さらに、AMLO政権の政策は、USMCAの複数の章に違反する可能性があるとし、5月17、18日にタイUSTR代表と、メキシコのタティアナ・クルティエール経済相、カナダのメアリー・エング中小企業・輸出振興・国際貿易相の間でオンライン開催されているUSMCA自由貿易委員会(注2)の主要な議題として取り扱うことを要請した。

メキシコ主要メディアは5月17日、USMCA自由貿易委員会会合の初日に、タイUSTR代表がクルティエール経済相に対し、メキシコのエネルギー分野への北米企業の投資を尊重するよう要請したと報じている。

(注1)行政府や立法府、司法府などの行為により、憲法が保障する国民や企業の基本的権利が侵害された場合、当該行為の差し止めと無効を求める裁判制度。

(注2)協定の管理・運営・勧告など行う、加盟国代表者で構成する委員会。

(中畑貴雄)

(メキシコ、米国)

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