3月のEUとユーロ圏の失業率、ともに前月から0.1ポイント改善

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2021年05月10日

EU統計局(ユーロスタット)の4月30日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、EU27カ国全体とユーロ圏19カ国の3月の失業率(季節調整済み)はともに前月から0.1ポイント改善し、それぞれ7.3%、8.1%だった(添付資料表参照)。EUとユーロ圏の失業率は、2020年8月以降、前期比では改善傾向が続いているものの、前年同月に比べると、EUで0.9ポイント、ユーロ圏では1.0ポイント増加している。

3月の失業率を加盟国別にみると、ポーランドが引き続き3.1%と最も低かった。失業率が最も高い加盟国はスペインで15.3%だった(ただし、最新データが未発表のギリシャは2020年12月時点で15.8%)。

加盟国別の失業率をみると、リトアニア(0.7ポイント減)やハンガリー(0.6ポイント減)を筆頭に、13カ国で前月から失業率が改善した。一方、前月比で悪化した加盟国はキプロス(0.3ポイント増)、ベルギー、スロバキア、スウェーデン(ともに0.1ポイント増)の4カ国だった。

3月のEUの失業者数は1,552万人で、そのうちユーロ圏は1,316万6,000人で、前月比でそれぞれ23万7,000人、20万9,000人の減少となった。同月の25歳未満の若年層の失業者数はEUで295万1,000人、このうち237万3,000人がユーロ圏の失業者だった。若年層の失業者数の増減を前月比でみると、EUでは1万4,000人の減少、ユーロ圏で1万7,000人の減少となった。

若年層の失業者数を加盟国別にみると、フランス(54万6,000人、若年層失業率:19.5%)、スペイン(53万9,000人、37.7%)、イタリア(46万1,000人、33.0%)が引き続き大部分を占めた。フランスとイタリアでは、若年層失業率が前月からそれぞれ0.3ポイント、1.1ポイント悪化した一方、スペインは前月から1.1ポイント改善した。若年層失業率が最も低かったのはドイツ(6.0%)で、最も高かったのはスペイン(37.7%)だった。

ユーロスタットは4月14日に、新型コロナウイルス危機がEU労働市場に及ぼした影響として、就労を希望しながらもできていない層がより網羅的に計上されている未活用労働指標(季節調節済み、注)などを含む「労働力調査(LFS)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、EUの2020年第4四半期(10~12月)の未活用労働指標は、前期から0.4ポイント改善し13.7%となった。また、同期のEUの雇用率(季節調整済み)は前期から0.3ポイント増の72.6%だった。

(注)未活用労働指標(Labour market slack)には、ILOが定義する失業者に加え、ILOの定義に含まれないものの失業状態に近い者や、パートタイムなどに就業しながら就労時間の追加を希望する労働者、就労可能だが求職活動を行っていない者などが含まれる。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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