タイのプロンプトペイ、シンガポールのペイナウと連携開始

(タイ、シンガポール、ASEAN)

バンコク発

2021年05月10日

タイ中央銀行(BOT)とシンガポール通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は4月29日、タイの「プロンプトペイ」とシンガポールの「ペイナウ」の即時リテール決済システムの連携開始を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両機関によると、世界的にも初めての試みという。今回の連携により、タイとシンガポールの提携銀行の顧客は、携帯電話番号のみを用いて、1日当たり1,000シンガポール・ドル(約8万2,000円、Sドル、1Sドル=約82円)、または2万5,000バーツ(約8万7,500円、1バーツ=約3.5円)までの資金を両国間で送金できるようにする。通常の送金手続きのように、受取人の氏名や銀行口座情報などの入力は不要となる。

利用者はモバイルバンキングや決済アプリを利用し、銀行窓口の営業時間に関係なく、いつでも即時かつ安全に送金を行うことができる。送金にかかる時間は数分で完了するとしており、通常の送金手段で必要とされる平均1~2営業日から大幅に時間が短縮される。送金手数料は市場の標準からみて適切な水準になるとされ、透明性も向上する。

ASEAN域内でのリテール決済システムの連結が進む

プロンプトペイとペイナウの連携は、2019年に開始された「ASEANペイメント・コネクティビティー」構想の一環でもある。同構想では、新しい金融技術を用いてASEAN加盟国の決済サービスを接続し、ASEAN域内の金融統合を促進することを目指している。タイは3月にも、ベトナムとのQRコード決済の連携を発表した(2021年4月1日記事参照)ほか、カンボジアやラオスとも連携を進めている。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、シンガポール、ASEAN)

ビジネス短信 cd480fbb6f385298