フェルナンデス大統領一行、債務再編交渉のため訪欧

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年05月28日

アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は5月9日から14日の日程で、ポルトガルとスペイン、フランス、イタリア、バチカンを訪問し、パリクラブやIMFとの債務再編交渉への協力を要請した。マルティン・グスマン経済相とフェリペ・ソラ外相が同行した。

フェルナンデス大統領の欧州歴訪の目的は、パリクラブ、IMFとの債務再編交渉での主要債権国の支持集めに加え、この交渉や経済政策をめぐって政権内で難しい立場に置かれているグスマン経済相を助けることとも言われている。グスマン経済相は4月に単身で欧州とロシアを歴訪し、債務再編交渉への各国の支持を求めたが、その後は交渉をめぐる具体的な動きがなかった。さらに、アルゼンチンはパリクラブのメンバー国に対して抱える債務のうち約25億ドルの支払い期限が5月末に迫っている。

5月14日には、フェルナンデス大統領はローマでクリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事と会談した。大統領はこの場で、IMF融資に課されるサーチャージ(上乗せ金利)の見直しを求めたとみられ、ゲオルギエバ専務理事は「フェルナンデス大統領がIMFのサーチャージ政策の改革を求めていることにも留意し、この問題について加盟国と協議していきたい」と述べ、中所得国の債務問題に配慮する姿勢を見せた。アルゼンチン政府は一連の訪問について「いずれの国もアルゼンチン政府への協力を約束した」としている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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