4月の失業率は5.5%に改善

(オーストラリア)

シドニー発

2021年05月21日

オーストラリア統計局(ABS)は5月20日、4月の雇用統計を発表し、失業者数(季節調整値)が前月から3万3,600人減少したことを明らかにした。失業率は前月の5.7%(改定値)から0.2ポイント改善し、5.5%となった。

一方で、就業者数は3万600人減少し、前月比0.2%減の1,304万400人だった。フルタイム労働者は3万3,800人増加したものの、パートタイム労働者が6万4,400人減少して相殺した。月間総労働時間は0.7%減の17億9,300万時間となったが、ABSは「4月のイースター休暇やスクールホリデーに合わせて休暇を取得した労働者が多かったためで、季節的な要因によるものだ」と説明した。また、労働参加率は0.3ポイント低下して66.0%、不完全雇用率は0.2ポイント低下して7.8%、労働力の未活用率は0.4ポイント低下して13.3%となった。

失業率を州別にみると、北部準州が1.8ポイントと大きく改善して3.8%となったほか、南オーストラリア州(0.7ポイント改善の5.7%)、ビクトリア州(0.6ポイント改善の5.5%)、西オーストラリア州(0.1ポイント改善の4.9%)、首都特別地域(0.1ポイント改善の3.4%)で改善がみられた。一方、ニューサウスウェールズ州は横ばいの5.5%だったほか、クイーンズランド州(0.1ポイント悪化の6.1%)、タスマニア州(0.2ポイント悪化の6.2%)では悪化した。

今回の雇用統計は4月4~17日を調査対象期間とし、連邦政府による経済支援策の1つの賃金補助制度が3月28日に終了した後に実施された。ABSは「就業者数の減少の一部は、賃金補助制度の終了に関連している可能性があるものの、労働市場における月ごとの変動や季節的な変化なども反映した結果だと考えられる。経済的理由や離職によって労働時間が短縮されるかゼロになったり、幅広い年齢層で大規模な雇用の喪失が見られたりするなど、賃金補助制度の終了による明らかな影響は確認されなかった」との見方を示した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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