個人情報保護法の完全施行を再延期へ

(タイ)

バンコク発

2021年05月07日

タイ政府は5月5日の閣議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、個人情報保護法(PDPA)の完全履行について、さらに1年間(6月1日~2022年5月31日)延長する法案を承認した。PDPAは、タイで初めて個人情報の取り扱いを包括的に定めた法律で、2019年5月28日から一部の条文が施行されたが、違反時の罰則規定などを含む法律全体の完全施行は2020年5月27日からとされていた。

しかし、政府は新型コロナウイルスへの対応が企業の負担となっていることを理由に、2020年5月19日の閣議で、完全履行の1年間(5月27日~2021年5月31日)の延長を決定していた(2020年5月22日記事参照)。施行再延期にかかる同法案は今後、官報で公布する予定だ。

PDPA完全施行の再延長を決定した背景には、タイの社会・経済が引き続き新型コロナウイルスの影響下にあり、企業によるPDPA完全施行への準備が十分でないことがある。施行を再延長した条文は前年と同様、第2章(個人情報保護)、第3章(データ主体の権利)、第5章(苦情申し立て)、第6章(民事責任)、第7章(罰則)、第95条(既得権条項または暫定措置)となる。

また、同閣議決定によると、現時点ではPDPA完全施行に向けてデジタル経済社会省(MDES)が関連細則の作成や公聴会の開催を担っているが、今後、PDPAを管轄する組織として「個人情報保護委員会」を設立する予定だ(時期未定)。

(田口裕介、今泉美里)

(タイ)

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