2021/2022年度予算案、「新型コロナ禍」からの経済回復を加速化

(ニュージーランド)

シドニー発

2021年05月26日

ニュージーランドのグラント・ロバートソン財務相は5月20日、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。新型コロナウイルス感染拡大を抑えてニュージーランドを安全に保ち、経済回復を加速するとともに、住宅不足、気候変動、子供の福祉などの基本的な課題に対処することを目標に掲げた。

予算案では、今後4年間のインフラ投資計画を既存の422億ニュージーランド・ドル(約3兆2,916億円、NZドル、1NZドル=約78円)から573億NZドルに引き上げるほか、住宅供給の支援(38億NZドル)、鉄道網の維持管理(13億NZドル)、公共交通機関の脱炭素化などの気候変動対策(3億NZドル)などが主な政策として盛り込まれた。また、社会福祉制度における各種給付金の引き上げや医療制度改革、教育支援など、ウェルビーイングの向上を目指す政策も強化された。

新型コロナウイルス関連では、16歳以上の全てのニュージーランド居住者に対して2021年末までにワクチン接種を完了するため、ワクチン接種プログラムに約15億NZドルを投じるほか、帰国者向けの隔離施設の運営や国境管理に3億3,300万NZドルを追加拠出するとした。なお、2020年に創設した「COVID対応・復興基金(COVID Response and Recovery Fund)」にはなお51億NZドルの残額があり、必要に応じて拠出可能だという。

今後の経済見通しについては、実質GDP成長率は2020/2021年度に2.9%まで回復し、2022/2023年度には4.4%に達するとの見通しを示した。また、失業率は2020/2021年度に5.2%でピークに達した後、22万1,000人の雇用創出が期待されることから、2023/2024年度には4.2%まで改善するとした。なお、財政見通しについては、2021/2022年度にGDP比5.3%相当(184億NZドル)の赤字となるものの、慎重な財政運営によって2026/2027年度には黒字に回復するとの見通しを示した。

(住裕美)

(ニュージーランド)

ビジネス短信 917ca2e8325c96f0