米国の4月の小売売上高、前月から横ばい
(米国)
ニューヨーク発
2021年05月20日
米国商務省の速報(5月14日付)によると、4月の小売売上高(季節調整値)は前月比でほぼ横ばいの6,199億ドルだった(添付資料表参照)。ブルームバーグがまとめた市場予想の1.0%増を下回った。なお、3月の売上高は9.8%増(速報値)から10.7%増に上方修正された(2021年4月21日記事参照)。
全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長は「(小売売上高の)伸び率は前年同月比では28.8%増(注)と、家計が引き続き堅調であることを示しており、今夏に向けて景気回復は勢いを増し続けるだろう」と述べた。また、米国疾病予防管理センター(CDC)が13日に新型コロナウイルスのワクチン接種完了者に対し、マスク着用を原則解除とする新たな方針を公表(2021年5月18日記事参照)したことを受け、さらなる経済再開が進むと指摘した(NRFプレスリリース5月14日)。
自動車・同部品、フードサービス、ヘルスケアなどが押し上げ要因
業種別にみると、自動車・同部品が前月比2.9%増の1,395億ドル、寄与度0.64ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、フードサービスが同3.0%増の649億ドル(寄与度0.30ポイント)、ヘルスケアが1.0%増の324億ドル(寄与度0.05ポイント)で増加に寄与した。一方、衣料は前月比5.1%減(235億ドル)、総合小売りは前月比4.9%減(657億ドル)と減少幅が大きかった。
民間調査会社コンファレンスボードが4月27日に発表した4月の消費者信頼感指数は121.7と、3月(109.0)より12.7ポイント上昇した。2カ月連続で大きく上昇し、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年2月以来(132.6)の高水準となった。内訳をみると、現況指数は139.6(3月:110.1)で29.5ポイント上昇し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は109.8(3月:108.3)で1.5ポイント上昇した。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのリン・フランコ氏は「消費者の現況に対する評価は4月に大きく持ち直し、第2四半期(4~6月)初めに景気回復がさらに強まったことを示唆している」とした。また「所得の見通しについて、消費者はより楽観的になっている。労働市場の改善や政府による最近の支援金給付が影響したのだろう」と指摘した。さらに「ワクチン接種の拡大と、経済活動制限のさらなる緩和を受けて、旅行や行楽への需要は力強く増加している」と述べた。
(注)NRFのコア小売売上高は、自動車販売店やガソリンスタンド、レストランを除いた数値。
(樫葉さくら)
(米国)
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