新型コロナ感染者の急増を受け、酸素の輸出を制限
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年05月12日
アルゼンチン政府は4月30日、政令第286/2021号を公布し、酸素を工業生産・開発省による輸出許可の対象品目に指定し、輸出を制限した。許可に際して保健省の見解を仰ぐこととしており、国内の需給の状況によっては輸出が許可されないことが見込まれる。
背景には、4月に入ってから新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が急増し、ブエノスアイレス市とブエノスアイレス州の40都市により構成されたブエノスアイレス首都圏(AMBA)において集中治療室(ICU)の病床使用率が急速に上昇していることがある。4月1日時点で61.6%だったAMBAにおけるICUの病床使用率は、4月30日には77.9%まで上昇した。
前日には、医療用液体酸素の価格とその輸送など関連サービスの価格を4月29日時点の価格に据え置くこと、生産者に対して生産量の拡大を求めることや、酸素など新型コロナウイルス対応に必要な資材の生産、流通状況などをモニタリングする委員会の設置を定めた保健省・工業生産・開発省共同決議第6/2021号を公布しており、医療体制の維持に努めている。
アルゼンチンでは、2020年3月20日に人工呼吸器などの呼吸治療用機器の輸出を工業生産・開発省の輸出許可品目に指定して以降、対象となる医療用品を拡大している(添付資料表参照)。
1日当たりの新規感染者数が2万人台半ばの日が続いており、ブエノスアイレス首都圏の医療体制は逼迫している。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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