海南省、2020年知的財産権の訴訟数が大幅増加

(中国)

広州発

2021年05月13日

中国の海南省高級人民法院は4月26日、同省における知的財産権の司法保護の現状について記者発表を行った。それによると、2020年に同省内の人民法院が受理した知的財産権に関する訴訟案件は1,942件で、前年の約3倍となった。

また、同省では知的財産権の保護・強化のため、以下の取り組みを進めている。(1)海南省での種子繁殖、医療技術革新、デジタル情報などを対象とした重点産業園区で、より正確な司法サービスを提供する連絡所の積極的な設置、(2)知的財産権紛争の迅速な処理体制の構築、(3)知的財産権分野の専門家・技術調査官の導入、(4)国際的な知的財産分野の専門家による案件調停など。

海南省では、2020年6月1日に島内全域をゼロ関税とする「海南自由貿易港建設全体方案(2020年6月12日記事参照)」を発表して以降、知財保護関連政策が次々に制定されている。同年12月31日には、北京、上海、広州に次いで4カ所目となる知識産権法院として、海南省自由貿易港知識産権法院が海口市に設立された。人員配置は約25人で、主な業務内容として管轄地域の案件処理、司法保護と課題研究、海南自由貿易港の建設に関する司法サービスの提供などを行っている。

また、同省知識産権局はこのほど「海南自由貿易港知的財産保護条例」意見募集稿を公表し、4月22日までパブリックコメントの募集を行った。同条例は、知的財産権保護に関する政府の職責や制度整備、行政保護、司法保護や地域間保護・国際保護などの内容を盛り込んでおり、省内各地方政府に対し、知的財産権の保護活動の指導を強化するよう求めている。

(黎偉君)

(中国)

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