2022年予算案提出、積極的な予算で経済再開を目指す

(ハンガリー)

ブダペスト発

2021年05月13日

ハンガリーのバルガ・ミハーイ財務相は5月4日、2022年の予算案を国会に提出したと発表した。財務相はこの予算案を「ハンガリー経済再開の予算」と強調した。予算案では、2022年の実質GDP成長率を5.2%と見込んでおり(添付資料表参照)、財政赤字の対GDP比を5.9%、政府債務残高を同79.3%としている。

近年、政府は財政の安定と債務の削減を優先し、財政赤字は対GDP比3%以下で推移、政府債務残高も2010年の同80%以上から2019年末には65.5%まで低下していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受け、最優先事項を人命保護と雇用維持・確保に改めた。そのため、財務省は予算案の提示に先立つ4月28日、「過去数年間よりも財政赤字の水準を高め、債務比率を一時的に高める必要がある」と説明していた。

国会で予算案を発表したバルガ財務相は、予算案が経済の再開と、家族支援、13カ月目分の年金支給の復活、25歳未満の若者への免税、雇用主の税負担のさらなる軽減、雇用創出と投資支援に必要な資源提供の6つの目標を達成するものと強調した。

財務相は計画の詳細について、2022年の経済復興のために7兆3,080億フォリント(約2兆7,040億円、1フォリント=約0.37円)を割り当てることを明らかにした。政府は経済政策に沿って、「新型コロナ危機」からの復興で経済発展を長期的に支える分野を優先している。経済復興に向けた主な取り組みは次のとおり。

  • 雇用創出
  • 税制対策(1.5%の研修拠出金税を廃止し、社会貢献税を0.5ポイント削減して15%とすることで、雇用者の賃金負担をさらに2%削減など)
  • 流動性の改善などハンガリー企業の支援
  • 国内投資の促進
  • デジタル化
  • 農業・農村開発
  • 環境・気候保護

予算案に関し、政府に助言を行う財政評議会は、財政赤字の2021年の対GDP比7.5%から2022年に5.9%へ削減する目標は不十分と指摘していた。同評議会は、4月27日付の公式意見で、財政赤字との政府債務残高の両方のレベルをさらに削減すべきとも主張した。

野党・新しい政治のかたち(LMP)も5月4日、2022年4月に実施されるハンガリーの総選挙に言及し、「(今回の予算案は)新型コロナウイルスの影響によって困難に陥っている人々や企業の支援、気候災害を回避するために必要な投資の促進ではなく、むしろ選挙対策予算だ」と政府を非難した。

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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