タミル・ナドゥ州で10年ぶりの政権交代、インド南部州議会選挙

(インド)

チェンナイ発

2021年05月11日

インド南部タミル・ナドゥ(TN)州の州議会選挙(4月6日投票、234議席)が、5月2日に開票された。ドラビダ進歩連盟(DMK)が133議席〔国民会議派(INC)などとの連立では159議席〕を獲得、これによりDMKは議会過半数を上回った(添付資料表参照)。その結果、同党は全インド・アンナ・ドラビダ進歩連盟(AIADMK)から10年ぶりに政権を奪回した。5月7日には、DMKのM.K.スターリン党首が州首相に就任した。スターリン州首相は、州副首相とチェンナイ市長の経験はあるが、州首相就任は初となる。

AIADMKは、連邦議会与党のインド人民党(BJP)やプロレタリア人民党(PMK)と選挙協力を行い、今回の選挙に臨んだが、連立合計の議席は75議席にとどまった。AIADMKのE・K・パラニスワミ前州首相の地盤がある州西部では多くのAIADMK候補が当選したものの、他地域ではDMKに圧倒され、現職不利の風潮に逆らえなかった。

AIADMKの敗因として、現地報道は以下の点を指摘している(「タイムズ・オブ・インディア」紙、「ヒンドゥー」紙5月3日)。

  • 選挙協力相手BJP主導の農業改革法案が不利に働いた。
  • サイクロン被害からの復興施策が不十分だった。
  • 10年間与党だったにもかかわらず、チェンナイ市のインフラ整備が不十分だった(チェンナイ市では全16議席において、DMKが全議席獲得)。
  • PMKとの選挙協力のために、他の有権者の支持を失った。
写真 ポスター(上:DMK、下:AIADMK)には、各党の候補者と代表者、そして過去の州首相の写真が掲載(ジェトロ撮影)

ポスター(上:DMK、下:AIADMK)には、各党の候補者と代表者、そして過去の州首相の写真が掲載(ジェトロ撮影)

写真 投票所では、有権者は建物の外に並び、投票の順番を待っている(ジェトロ撮影)

投票所では、有権者は建物の外に並び、投票の順番を待っている(ジェトロ撮影)

インド南部では、同5月2日に、ケララ州およびプドゥチェリー連邦直轄領においても議会選挙の開票が行われた。ケララ州においては、現職のビジャヤン州首相が率いる左翼民主戦線(LDF)が勝利し、再任の見込みだ。プドゥチェリー連邦直轄領においては5月7日、BJPとAIADMKとの選挙協力により勝利した全インドNR会議派(AINRC)党首のN・ランガサミ氏が、5年ぶりに連邦直轄領首相に就任した。

(浜崎翔太)

(インド)

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