バイデン米大統領、新型コロナワクチン2,000万回分の国外追加供給を発表

(米国)

ニューヨーク発

2021年05月19日

ジョー・バイデン米国大統領は5月17日、新型コロナワクチンについて6月末までに2,000万回分を国外に追加供給すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン政権は4月末に、米国内で未承認の英国アストラゼネカ製のワクチン6,000万回分の国外供給を発表していたが(2021年4月28日記事参照)、今回発表した追加の2,000万回分は米国内で承認済みのワクチン(注1)としている。

米国は今回の追加供給分により、合計で8,000万回分のワクチンを国外に供給することになる。バイデン大統領は記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、これは6月末までに米国で製造されるワクチンの13%に当たると説明した。また、中国とロシアがワクチンを使い世界で影響力を行使しているとの指摘に触れた上で、「われわれのイノベーション、創造力、米国民の基本的な良識という価値観により世界をリードしたい」と強調した。

バイデン大統領は今後について、「コバックス(COVAX、注2)やその他の友好国とともに、ワクチンが公平にいきわたることを確実するために協力していく」としている。そのほか、世界の民主国家とともに、パンデミックを終息させるための多国間の取り組みを進めていくとし、初の外遊として予定されている英国でのG7サミット(6月11~13日に開催予定)でその進捗を披露したいと述べた。

バイデン政権は5月5日には、世界における新型コロナワクチンの製造拡大に向けて、WTOのTRIPS協定によるワクチンの知的財産の保護を放棄することを支持すると表明している(2021年5月7日記事参照)。しかし、EUではドイツのアンゲラ・メルケル首相やフランスのエマニュエル・マクロン大統領らが、ワクチンの供給拡大に向けた解決策は知財放棄ではないと否定的な見解を示しており(「CNBC」5月10日)、WTOで合意が形成されるかは不透明な状況だ。

(注1)5月18日時点で米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可を与えているワクチンは、ファイザー・ビオンテック製、モデルナ製、ヤンセン(ジョンソン・エンド・ジョンソン子会社)製の3種類となる。

(注2)新型コロナワクチンを複数国で共同購入し、公平に分配するための国際的な枠組み。詳しくは世界保健機関(WHO)のページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。バイデン政権のCOVAXファシリティーへの資金拠出計画については、ホワイトハウスのファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(磯部真一)

(米国)

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