アウディ、研究機関・企業とともに自動車生産のデジタル化推進

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年05月24日

ドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループのアウディは4月30日、フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)などの研究機関やITソフトウエア関連企業と協力し、自動車生産のデジタル化を進めるプロジェクト「オートモーティブ・イニシアチブ2025(AI25)」を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

アウディはAI25プロジェクトで、大学・研究機関としてIAOとミュンヘン工科大学(TUM)と協力する。また、企業からはアマゾンウェブサービス(AWS)とSAP、フランスのITコンサルタントのキャップジェミニが参加する。加えて、自動車産業のデジタル化に向けてアウディとキャップジェミニが2020年に設立した合弁会社XL2も加わる。

AI25プロジェクトの目的は、アウディのネッカースウルム工場があるバーデン・ビュルテンベルク州ハイルブロン地域で、2025年までに世界屈指の工場デジタル化のネットワークを築き上げること。ドイツの自動車産業の将来は、既に有する車両製造のノウハウをデジタル技術といかに系統的に結びつけられるかにかかっているとされる。アウディと協力団体・企業は、このプロジェクトを通じて先進事例となる、実践に重要な解決策とアプローチ方法を探っていく。

具体的には、アウディのネッカースウルム工場で製造やサプライチェーンのデジタル化を研究・具体化し、そこで得た知見や技術を用いて車両の商用生産につなげる。「デジタル・プロダクション・プラットフォーム(DPP)」と呼ばれる、VWグループ全ての機械・設備・システムのデータを集約するシステムが協働の土台となる。ネッカースウルム工場とアウディ本社があるインゴルシュタット工場は既にDPPに接続されており、今後、他の拠点とも接続する予定。また、SAPの統合基幹業務(ERP)システムであるSAP S/4HANAも、次世代のデジタル化された生産プロセス構築のため導入される。

アウディのネッカースウルム工場は、ドイツ南西部シュトゥットガルトの北方約60キロに位置する。2020年の生産台数は15万6,563台(アウディ全体の9.2%)で従業員は1万5,710人。VWグループの中でデジタル生産・物流などの将来プロジェクトを担う。ペーター・ケスラー・アウディ取締役(生産・物流担当)は「AI25の協力先とともに、ネッカースウルム工場をVWグループ内のデジタル生産・物流のリーディング工場にする」としている。

写真 製造プロセスのデジタル化を進めるアウディ(アウディ提供)

製造プロセスのデジタル化を進めるアウディ(アウディ提供)

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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