湖北省、第1四半期GRPの伸び率が中国1位に

(中国)

武漢発

2021年05月06日

中国中部4省(湖北省、湖南省、河南省、江西省)における2021年第1四半期(1~3月)の経済指標が発表された(注)。同期の域内総生産(GRP)は、湖北省が前年同期比58.3%増の9,873億元(約16兆7,841億円、1元=約17円)、湖南省が15%増の1兆224億元、河南省が15.4%増の1兆3,307億元、江西省が18.4%増の6,575億元となった(添付資料表参照)。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、前年同期に都市封鎖が行われた湖北省は50%超の大幅増で、伸び率は中国省・市別1位となった。

産業別にみると、4省全てで第二次産業、第三次産業の成長率が2桁の増加になった。特に湖北省では第二次産業が前年同期比88.9%増の4,092億元となり、一定規模以上の工業付加価値総額は96%増となった。同省では、工業41業種のうち40業種で付加価値総額が増加し、特にハイテク技術製造業が129%増(2.29倍)と3桁の増加になった。

4省では、貿易や消費も着実に回復している。特に、湖北省は貿易総額が前年同期比88.1%増の1,175億元で、中国でもトップクラスの伸び率となった。また、スマートフォンの一大製造拠点となっている河南省は、貿易総額が前年同期比79.3%増の1,921億元になった。同省の貿易総額は中国省・市別で9位で、中部4省では9年連続で1位だった。鄭州税関は「アップル5G(第5世代移動通信システム)携帯の需要が世界中で増加したことが、河南省の貿易額が増加した主な要因」と分析している。

また、消費の動向を示す社会消費品小売総額は、2020年は湖北省、湖南省、河南省でマイナス成長となったが、2021年第1四半期は4省全てで2桁の増加になった。特に、湖北省は62.7%増の大幅な増加となった。同省政府は「湖北省の消費市場は徐々に回復しており、これまで抑制されていた消費の潜在力が徐々に解放されつつある」としている一方で、「比較対象となる前年同期が高かったこともあり、消費者物価指数(CPI)は1.5%減となり、新型コロナウイルスの影響を受けたサービス消費もまだ完全に回復していない」といった慎重な見方も示している。

湖北省は再び質の高い経済発展に注力

前年の落ち込みから最も大きな成長を遂げた湖北省は、2021年第1四半期における多くの経済指標で2桁以上の伸びを記録した。同省政府は「2021年の湖北省経済は好調なスタートを切り、経済回復の速度を加速させている。経済回復の基盤を継続的に強化し、新型コロナウイルスによる損失を早期に埋め合わせ、再び質の高い経済発展を推進していく」との方針を示している。

(注)各省統計局の発表日は、湖北省が4月19日、湖南省と江西省が4月20日、河南省が4月21日。

(片小田廣大)

(中国)

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