韓国国債の格付け「AA」で据え置き、見通しは「安定的」

(韓国)

ソウル発

2021年05月11日

韓国の企画財政部は4月28日、格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が韓国国債の格付けおよび見通しを現在の水準(AA、安定的)で据え置くと発表したことに関し、以下の評価を公表した。

1.S&Pによる国債格付けの据え置きの決定は、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、厳しさを増すグローバル経済の中、韓国経済に対する対外的信頼を再確認するもの。新型コロナウイルス感染症の拡大以降、113カ国の国債「格付け」または「見通し」が下方修正されている中、韓国国債の格付けが据え置かれたことは大きな意味を持つ。

2.政府は今後もS&P側と韓国の経済動向や主な懸案について意思疎通を強化し、対外的信頼度の向上に最善を尽くしていきたい。

なお、S&Pによる今回の評価の概要は以下のとおり(韓国の信用格付けの推移については添付資料表参照)。

(1)経済

他の高所得国と比較し、新型コロナウイルス感染症による経済的被害が小さく、今後3~5年間は相対的に高い成長率となることが予想される(注1)。

(2)制度

民主的政治制度による予見可能な政策、課題に対して先んじて対応することが強みだが、北朝鮮関連のリスクが制約要因となっている。

(3)財政

新型コロナウイルス感染症の影響によって、2022年までは一般会計の財政赤字が続くものの、経済回復に伴い、2023年に黒字転換する見込み(注2)。

(4)為替

対外純債権、外国為替市場の規模と柔軟な為替レートが強いバッファーとしての役割を果たし、今後も経常収支の黒字は継続する見込み。

(5)通貨

物価安定目標制の成功、中央銀行の独立性などを基盤に通貨政策が経済の安定および信頼度強化に寄与している。

(注1)S&Pによる韓国の経済成長見通し(%):2021年3.6、2022年3.1、2023年2.5、2024年2.5

(注2)S&Pによる一般会計財政収支の推定〔GDP比(%)〕:2021年マイナス4.1、2022年マイナス1.8、2023年0.7、2024年2.0

(当間正明)

(韓国)

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