2020年度の自動車販売、乗用車・二輪車ともに減少も、減少幅は改善

(インド)

ベンガルール発

2021年04月21日

インド自動車工業会(SIAM)は4月12日、2020年度(2020年4月~2021年3月)の自動車統計(出荷ベース)を発表した。それによると、乗用車販売台数〔多目的車(UV)とバンを含む〕は前年度比2.2%減の271万1,457台となった(添付資料表1参照)。2019年度実績(277万3,519台)が前年度比17.9%減だったことから、「新型コロナ禍」にありながらも、減少幅は大きく改善している。SIAMは今後の自動車販売について、「新型コロナ以前の自動車市場を取り巻く構造的な課題に加えて、パンデミックの影響が大きく、完全な販売回復にはさらなる時間と業界関係者の努力が必要だ。また、昨今の半導体やコンテナの不足など、バリューチェーンの課題も懸念事項」とコメントした。

メーカー別では、首位のマルチ・スズキが129万3,840台で前年度比8.5%減となったが、トップシェア(47.7%)を確保(添付資料表2参照)。現代(同2.8%減の47万1,535台)や地場マヒンドラ&マヒンドラ(同15.9%減の15万7,215台)などを含む主要メーカー13社のうち8社が減少した。他方、積極的なニューモデル投入や既存車種のモデルチェンジを行ったタタ・モーターズは前年度比62.1%増の22万4,109台、2019年から多目的車限定の生産・販売を開始した起亜は同83.4%増の15万5,686台と、それぞれ大きな伸びを見せた。日系5社(スズキ、日産、ホンダ、トヨタ、いすゞ)の市場シェアは合計で54.9%だった。

二輪車販売台数は前年度比13.2%減の1,511万9,387台となり、乗用車と同様、2019年度実績の前年度比17.7%減に比べて減少幅は小さくなった(添付資料表3参照)。メーカー別の二輪車の販売台数では、首位のヒーローが559万9,859台(前年度比10.1%減)となったものの、市場シェアを前年度の35.8%から37.0%に広げた。続くホンダは386万7,817台(同17.8%減)で、シェアは27.0%から25.6%となった。日系4社(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)の市場シェアは合計32.5%だった。

商用車(前年度比20.8%減の56万8,559台)と三輪車(同66.1%減の21万6,197台)を含む2020年度の自動車総販売台数は、13.6%減の1,861万5,588台となった。

乗用車と二輪車の販売台数は2020年8月に前年同月比プラス転換して以降、堅調な伸びを続けており、3月の前年同月比の成長率はそれぞれ、約2.15倍と72.7%増で、さらに大きな回復を見せている。

(鈴木隆史、ディーパック・アナンド)

(インド)

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